病理科部長 岸田 由起子
「○○の病理」というのは、本のタイトルなどでも目にしますが、病院にある「病理科」というのは、あまり皆さんに馴染みがないと思います。(電話で「料理科??」と間違えられることすらあります。)私たち病理医は、病院の中で患者の皆さまと直接お会いすることがほとんどない医師なのです。
病理学とは、「人はなぜ病気になるの?(病の原因)」「病気ってなに?(病の本態)」「病気になるとどうなるの?(病の転帰)」を研究する学問です。亡くなられた方を解剖し、肉眼的に観察するだけでなく、顕微鏡を使って「どこが正常と違っているか?」を調べるうちに、生きている方から組織の一部を取って病気の診断ができるようになってきました。これが「病理診断学」であり、病理科ではさまざまな方法で採取された病気の部分を観察して「最終診断」を下す仕事をしています。
病理診断には大きく分けて(1)細胞診(断)、(2)生検組織診断、(3)手術で摘出された臓器・組織の診断、(4)手術中の迅速診断、(5)病理解剖があります。