循環器科部長 深津 徹
「心不全パンデミック」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
コロナ感染症の「パンデミック」という言葉は一般的に知られるようになりました。「パンデミック」は感染症の世界的流行を指すことが多い言葉ですが、高齢化に伴う心不全患者の爆発的増加に対しても、「心不全パンデミック」との表現が使われています。
生命を維持し、様々な活動を行うためには、心臓から様々な内臓や筋肉などに十分な血液が送られることが必要不可欠です。心不全とは様々な心疾患(心筋梗塞などの虚血性心疾患、心臓弁膜症、心筋症、不整脈など)のため、心臓の働きが需要に対して不十分になった結果、「息切れ」、「むくみ」などの症状が現れる状態です。
心不全は「死ぬときの病名」と悪い印象を持たれがちですが、年齢のせいと思っていた息切れやむくみが実は心不全であって、これに対して手術等の大がかりな治療を行わずとも、適切な投薬や生活習慣の適正化にて、長く生活を維持していける場合も多くみられます。また、心不全が増悪した場合は入院加療を行って、安定した状態に戻すことが必要になります。
この意味で、循環器専門医の果たす役割は大きなものとなっており、当院でもこのような視点に立って地域の先生方とも協力して、特に地域の心不全患者さんのケアーに中心的な役割を果たしていきたいと考えています。
狭心症・心筋梗塞の治療では、カテーテルインターベンション(PCI)にも積極的に取り組んでいます。
狭心症は、一般には階段や坂道などの労作時に起こり30秒から数分持続する、圧迫されるような胸部の鈍痛が典型的な症状です。狭心症で胸痛がだんだん悪くなる不安定狭心症や、胸痛が持続する心筋梗塞では緊急治療が必要となります。当院では、緊急カテーテル治療を含めほぼ24時間対応可能な体制をとっています。
徐脈性不整脈に対するペースメーカー治療にも力を入れております。
循環器疾患一般に、薬物治療も大変進歩しており、内科的薬物療法により、大きな効果を得ることができる場合も多くみられます。当院では、インターベンションなど手術的な治療法に偏ることなく、誠意をもって、患者さん一人一人にevidenceに基づいた適切な治療法の選択を心がけています。
また虚血性心疾患などでは、糖尿病、高脂血症など生活習慣病が背景にあることが多く、安定した患者さんでは予防のためこちらのコントロールも非常に大切です。総合病院としての利点を生かし、内分泌代謝内科などとの連携にも力を入れています。
各医師の外来診療予定日です。
検査件数(件) | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 |
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冠動脈造影(PCIを除く) | 151 | 138 | 192 |
冠動脈CT | 309 | 211 | 241 |
心筋シンチグラム | 408 | 367 | 466 |
経胸壁心エコー | 4,663 | 4,741 | 5,221 |
経食道心エコー | 41 | 29 | 18 |
トレッドミル負荷 | 134 | 182 | 349 |
ホルター心電図 | 945 | 904 | 1,132 |
治療件数(件) | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 |
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緊急PCI | 13 | 18 | 24 |
待機的PCI | 90 | 75 | 90 |
ペースメーカー手術 (新規) | 11 | 10 | 13 |
ペースメーカー手術 (交換) | 9 | 4 | 5 |
部長 深津 徹 (ふかつ とおる) (卒業年:1986年) |
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医長 一戸 能麿 (いちのへ よしまろ) (卒業年:2002年) |
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山中 哲雄 (やまなか てつお) (卒業年:2007年) |
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原 済 (はら とおる) (卒業年:2011年) |
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岡部 冨士子 | 専門治療:循環器内科(心臓、高血圧) |
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(2023年4月1日現在)
疾患名 | パス名 | 入院日数 | 料金(3割負担) |
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狭心症 | 心臓カテーテル検査 (3日) |
3日 | 70,000円 |
心不全とは
循環器内科 部長 深津 徹
臨床研究名称 | 責任者名 |
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循環器疾患診療実態調査(JROAD)(158KB) | 深津 徹 |
心不全医療の適正化に資するための全国規模データベースによるエビデンスの創出(129KB) | 深津 徹 |