最も頻度の高い自覚症状は肉眼的血尿です。排尿時痛や残尿感を訴える方もいらっしゃいます。
尿検査(尿定性・尿沈渣)を行い、尿中の出血や癌細胞の有無を確認します。超音波検査(痛くない検査です)で、膀胱のほかにも腎臓や前立腺の状態を観察します。
膀胱癌が疑わしければ、膀胱鏡検査を行います。細くやわらかい軟性鏡を用いて尿道から膀胱までのぞき、腫瘍の位置、形状や大きさを目視します。
転移の有無については造影CT検査で調べます。
腫瘍の深さや悪性度によって治療が変わります。腫瘍の深さが浅いタイプであれば、尿道から内視鏡的に切除する(経尿道的膀胱腫瘍切除術:TUR-Bt)ことで根治が可能です。しかし、内視鏡で視認し難い微小病変や上皮内癌(carcinoma
in situ: CIS)などの平坦病変が腫瘍の残存に関連していると考えられています。これら視認困難な病変に対して認識しやすくするために、光感受性物質5-ALAを用いた光力学診断を使用したTUR-Btを2022年7月から導入しています。従来よりさらに正確で十分な腫瘍切除を行うことが可能になっています。通常のカメラで視認が難しい病変も、光力学診断を用いると赤く光るので見つけることができます。
再発予防として、ウシ結核菌(BCG)を膀胱内に注入すると効果があることが知られています。これは外来通院で行える治療です。
腫瘍の深さが深いタイプの場合は、内視鏡手術のみでは根治できず開腹手術によって膀胱をすべて摘出する必要があります。膀胱をとり、お腹に尿の出口を作成します。4週間程度の入院が必要です。
一人ひとりにあった治療を説明させていただいておりますので、お気軽にご相談ください。
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