ここから本文です。
新しくできたほくろについて
子供の時にはなかったが、新たにできたほくろが近頃気になる、という方は注意してください。ほくろも悪性と良性があり、つまり癌とそうでないものがあります。ほくろが急に大きくなり心配されて外来を受診される方がいますが、その中には皮膚癌の一種である基底細胞癌や悪性黒色腫と呼ばれている癌があります。
鼻の基底細胞癌
基底細胞癌は日常診療でよく見かける癌で50歳以上の高齢者に多く、日光の当たる場所、特に眼瞼、鼻周囲に多く発生することが多い癌ですが、体幹にもまれに生じます。
癌といっても転移などの心配はほとんどなく、局所的に浸潤して深部に広がってきます。長期間放置すると、顔面ですと眼球や鼻骨にまで浸潤して、顔面の変形をきたすことがあります。
大腿部の悪性黒色腫
また、悪性黒色腫は皮膚癌の中で最も悪性度が高い癌のひとつで、10万人に1~2人の頻度で発生し、生まれながらではなく後から生じたほくろの場合が多く、全身のどこにでも生じ成人以降に発症する人がほとんどです。
悪性黒色腫は4型に分けられ、四肢末端の手のひらや足の裏、爪に生じるのが日本人に多いタイプです。手のひらや足裏のもともと色素の無いところ(黒色人種の方でも色の黒くない部分)に生じた6mm以上あるほくろは注意が必要です。癌が成長してある一定の深さまで達すると、転移を起こして全身に広がっていきます。
基底細胞癌も悪性黒色腫も、早期発見・早期切除が最も確実な治療法です。癌の切除は通常の良性腫瘍とは異なり、周りに正常な皮膚や組織をつけて大きく切除するのが基本ですので、腫瘍が大きくなると切除範囲も大きくなります。そのため、生じた皮膚欠損部を縫い合わせることができないときは皮膚の移植等が必要になります。
当科はダーモスコープという拡大鏡を使うことにより、診断の正確性を高めて迅速な治療を心がけています。また、皮膚科との協力のもと診断から切除、そして術後の追加の治療やフォローアップに至るまでトータルにケアしています。
形の不整や色むらがあったり、また成長する速度が速いほくろがあって気にされている方は、一度当科にてご相談ください。
形成外科トップページへ
ここまで本文です。