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脂肪腫について
脂肪腫とは
左肩に生じた脂肪腫
脂肪腫は成人の上肢、肩、背部に多い皮下腫瘍で、形成外科で多く手がけている手術のひとつです。発生原因は不明ですが、刺激の受けやすい部位に生じる傾向があります。背部などの目につきにくい場所にできた場合、痛みを伴うことはほとんどないため、大きくなってから受診される方も多くいらっしゃいます。典型的なものであれば触診と視診で診断は可能ですが、部位や深さの違いにより診断しにくい場合もあります。そのため、他の疾患との鑑別のためにMRI検査や超音波検査が有用で、単発の大きなものの場合には術前に画像検査をおこなうのが一般的です。
脂肪腫の治療
治療は完全切除が原則です。脂肪腫は液体ではないので注射器などで抜き取ることはできません。大きいものや深部にある場合は全身麻酔下に手術をおこないますが、大きさや深さ、患者さんの全身状態や性格、社会的状況などを加味して、麻酔方法、入院の有無を検討して手術を予定します。通常、直上を切開して被膜を損傷しないように一塊に切除します。術後に切除したスペースに血がたまらないように、柔らかいストロー様の血抜きの管を創部に挿入する場合がほとんどです。その管は通常1週間以内には抜けますが、排液量をみて決めています。切除したものは病理組織学的検査で悪性所見の有無などを確認しています。抜糸は術後8日目から2週間以内に外来でおこなうのが一般的で、その後は通常の生活を送っていただきます。単発の場合は抜糸が終われば受診の必要もありませんが、体質的に脂肪腫が生じやすく多発する人の場合はまた新たな脂肪腫が生じることも多く再度手術が必要になることがあります。
しこりに気づいたら
皮下のしこりに気づいても痛みなどの症状もないことから病院を受診されない方も多いと思いますが、時に悪性のこともあり、脂肪腫でないこともあります。自分で判断せずに病院を受診して専門家の診察を受けてください。
脂肪腫の種類などにもよりますが、形成外科ではキズを目立たなくするために可能な限り小さな切開で手術をおこない、取り残しによる再発を防ぐ工夫もおこなっております。また形成外科的な縫合をおこなうことでさらにキズが目立たないように努めています。
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