食道にできるがん(食道がん)については、日本では扁平上皮がんと呼ばれるお酒やたばこが発症に関与するものが多くを占めていました。
しかし近年、食道と胃の境界部から発生するバレット食道がんとよばれる腺がんが徐々に増加していることが報告されています。
バレット食道がんとは、食道粘膜にできたバレット粘膜から発生するがんです。
バレット粘膜は、胃酸や胆汁酸といった消化液によって食道粘膜に慢性的に炎症が生じた結果発生する粘膜で、胃から食道側にせり出すように伸展します。
バレット食道がんの危険因子としてこのバレット粘膜の長さ(3㎝以上)が挙げられており、他には男性の方、胃酸や胆汁などの消化液の食道への慢性的な逆流(逆流性食道炎)、タバコが挙げられています。
また肥満は、胃酸や胆汁の逆流を生じやすいことがわかっており、肥満はバレット食道がんの間接的なリスクとなる可能性が報告されています。
胃の内視鏡検査でバレット粘膜を認めた方は、定期的に検査に行った方がいいかどうか医師にご相談ください。
バレット食道がんと診断された場合、各種検査でがんの根(深達度)が浅いと診断された場合は胃カメラを用いた内視鏡治療が適応となり、外科手術でなくても治癒が得られる可能性があります。
当院では内視鏡で切除可能な場合は内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行しており、良好な結果が得られています(下記症例)。
この病気や治療方法にご質問などございましたら、消化器内科加藤医師または各担当医までご相談ください。