網膜は、眼球の中では、カメラのフィルムにあたる部分で、とくに細かいものをみるときには、網膜の中心部(= 黄斑部(おうはんぶ))を使います。加齢黄斑変性という病気には、加齢などが原因で、この黄斑部の網膜のすぐ下や網膜の外側の 脈絡膜(みゃくらくまく)から新生血管(しんせいけっかん)と呼ばれる異常な血管ができる「滲出型(しんしゅつがた)」と、網膜の細胞が萎縮する「萎縮型(いしゅくがた)」があり、いずれも網膜の中心部がいたみ、視力が低下してしまいます。とくに滲出型では、もろい新生血管が破れて出血したり、新生血管の中の水分のもれなどを起こすために、ものを見ようとするときに中心がゆがんだり、黒く見えたりして(下図)、急激に視力が低下することもあります。 加齢黄斑変性は、以前から欧米諸国では成人の失明原因の第1位を占める重要な病気でしたが、日本でも食生活の欧米化や近年の高齢化に伴い患者数が増加し、緑内障、糖尿病網膜症、網膜色素変性症に次いで、成人の失明原因の第4位を占めるようになり、現在大変注目されている病気です。