




監修
呼吸器内科部長
澁谷 英樹先生
「結核なんて、昔の病気でしょ?」そう思う方もいらっしゃるかもしれませんが、現代の日本でも決して油断できない身近な感染症です。
厚生労働省の統計でも、令和の今も毎年1万人以上の新たな患者さんが見つかっており、そのうち1割が命を落としています。
結核の正体、長引く風邪との見分け方などについて解説します。

結核は、「結核菌」という細菌が引き起こす感染症です。風邪やインフルエンザとは異なり、主に「空気感染(飛沫感染)」という経路で広がります。
患者さんが咳やくしゃみをした際、しぶき(飛沫)が飛び散ります。このしぶきの水分が乾燥し、結核菌だけがフワフワと空気中を漂います。これが「飛沫核」です。
この目に見えないほど小さな菌を、近くにいる人が一緒に吸い込むことで感染します。すれ違っただけでうつるような強いものではなく、基本的には「閉め切った部屋で長時間一緒に過ごす」ことで感染リスクが高まります。
吸い込まれた結核菌は、気管を通って最終的に肺の奥深く(肺胞)に到達します。結核菌は、酸素が大好きな細菌です。そのため、肺の中でも特に空気(酸素)が豊富な上部(上葉)に住み着きやすいという特徴があります。
ここで、大切なポイントです。
結核の初期症状は風邪とそっくりですが、決定的な違いは期間にあります。それが「2週間」という期間です。

昔は命を落とすことも多かった結核ですが、現代では効果的な抗結核薬(抗菌薬)があります。治療の基本は、「3~4種類の薬を、毎日6か月間きっちり飲み続けること」です。
薬を飲み始めて2週間ほど経つと、咳が止まり体調もすっかり良くなります。しかし、ここで「治った!」と自己判断し薬をやめてはいけません。生き残ったしぶとい結核菌が薬への抵抗力(耐性)を持ってしまい、二度と薬が効かない「多剤耐性結核」という非常に治しにくい状態になってしまうからです。
医師の指示通りに最後まで飲み切れば、結核は完全に治すことができる病気です。
結核は決して過去の病気ではありませんが、正しく知っていれば過度に恐れる必要ありません。
「おかしいな」と思ったら、まずは医師にご相談ください。早期発見があなた自身と、周りの大切な人を守ることにつながります。
※なお、当院は結核病棟がないため、診断は行いますが、治療については結核病棟を有する病院へ紹介させていただきます。