当病院に緩和ケアチームが誕生したのは平成18年のことです。今年で発足7年となります。緩和ケアチームは当初、看護師1名、医師1名で始めました。最初はなかなかうまくいかないこともありました。緩和ケアチームに何ができるのかが、何をしてくれるチームなのかといったことが、患者さんにはもちろんのこと、病院職員にも浸透していなかったためです。多くの患者さんやご家族の苦痛に対応するためには、まず、がんサポートである緩和ケアチームの存在を知ってもらう必要がありました。そこで、ポスターを作成し院内に案内を掲示しました。院内で緩和ケアチームの名前が知れるまでには3年の月日がかかりましたが、年々、各診療科医師、看護師、コメディカルにも認知されるようになりました。現在では、患者さんやご家族の希望で緩和ケアチームに依頼が来ることも多くなり、緩和ケアチームを通じて緩和ケアを受ける患者さんは、年間140人を超えるようになっています。
緩和ケアチームの活動開始当初は、疼痛緩和の依頼がほとんどを占めていました。しかし、患者さんや支えるご家族には、疼痛以外にも、精神面の苦痛、社会的苦痛など多くの苦悩が複雑に存在していることが明らかとなり、最近では精神症状や疼痛以外の身体症状の緩和の依頼が増えてきています。そのため、緩和ケアチームのメンバーも充実してきました。現在は多職種のメンバーが揃い、多様な苦痛に対応しています。身体症状担当の医師、精神症状担当の医師、緩和ケア認定看護師、がん性疼痛看護認定看護師、がん専門看護師をはじめ、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、栄養士と人材は豊富です。そのほか、必要に応じて理学療法士がリハビリテーションを担当しています。苦痛の緩和とリハビリテーションを行うことで、患者さんのQOL(生活の質)は改善され、在宅での療養も可能となってきています。これら緩和ケアチームのメンバーで、主治医や病棟の担当看護師と連携を取りながら、さまざまな苦痛を除去するための緩和ケアに日々取り組んでいます。
今後も、緩和ケアチームとして、症状緩和と患者さんやご家族のQOL向上を目標に、多職種のスタッフがそれぞれの能力を発揮して、さまざまな側面から緩和ケアに取り組んでいきたいと思っています。