第144号 2022年4月1日発行
PDF版はこちら (2.99MB)
このたび、眼科では新たに白内障手術装置である「CENTURION ® VISION SYSTEM」を導入いたしました。
白内障は眼の中でレンズの役割をする水晶体というところが濁る疾患で、40代くらいから始まり、80代になるとほぼ全員の方に白内障の所見が見られます。
現在、一度できてしまった白内障を点眼薬や内服薬で治すことはできないため、眼のかすみや視力低下で生活に支障を感じる場合は、治療として手術が必要となります。
これまでの白内障手術装置は、手術中に眼の中を灌流する液のボトルを上下させる重力によって眼内圧をコントロールしておりましたが、今回導入したCENTURION ® VISION SYSTEMでは、手術中の眼内の圧力変動を減少させる独自の灌流制御システムを搭載しているため、手術中の眼内圧を常に一定に保てるようになり、さらに従来の機器よりも低い眼内圧で手術を行うこともできるようになりました。
また、従来の機器では縦方向の超音波発振で白内障手術を行っておりましたが、CENTURION ® VISION SYSTEMでは独自の機能により横方向の超音波発振を併用することで、より効率的に手術が行うことができ、手術時間が短くなることで傷口にも負担がかかりにくくなります。
これらにより眼に対する負担が減り、後嚢破損(眼内レンズを支える水晶体後面の膜が傷ついたり破れてしまうこと)やその他の手術に際する合併症のリスクを軽減させ、より痛みが少なく、安心で安全な手術が行えるようになりました。
世界全体では白内障は失明原因の第1位(約51%)ですが、日本では医療技術の発達により、白内障による失明は約3%で第8位(2007年時点)となっています。ゆっくりと進行することが多く、自覚症状があまりないこともあります。手術によって治癒が可能な疾患ですので、見え方についてお困りのことがございましたら、ぜひ眼科にご相談ください。