第130号 平成30年10月1日発行
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皆様は「末期腎不全」と聞くとどのような印象を持たれるでしょうか?「手遅れだ」「諦めるしかない」そのような印象かもしれません。しかし末期腎不全には様々な治療の選択肢があります。
腎臓は、体内の老廃物を浄化し余分な水分を排出しています。初期の腎不全では症状が出にくいですが、腎臓の機能が健康な方の10%未満になる末期腎不全では、食欲低下、吐き気、だるさ、むくみ、息苦しさなどが出てきます。これを「尿毒症」と言います。
末期腎不全に至ると透析療法か腎移植が必要となります。透析療法は、血液透析と腹膜透析の2種類があります。透析療法はどちらも体内の老廃物や水分を除去します。
血液透析は、血液を透析器に通してきれいになった血液を体に戻す方法です。1回約4時間を週3回、主に医療機関で行います。
腹膜透析は、腸のまわりを張り巡る「腹膜」を利用します。透析液を一定時間お腹に貯め排出します。主に自宅で行うので生活の質を保ちやすく、心臓への負担が少ないため身体にやさしい治療です。しかし腹膜機能が低下するため10年程で血液透析に移行します。
血液透析
腹膜透析
図:
(公財)日本医療機能評価機構 「Minds版 やさしい解説 図解 CKD(慢性腎臓病)」
https://minds.jcqhc.or.jp/n/pub/3/pub0067/G0000542/0009 より転載
「透析」と聞くと「人生の終わりだ」「自由が奪われる」と言う方がいらっしゃいます。しかし、近年では様々な透析機器や治療法が開発され身体にやさしい方法を選択できるようになりました。透析を始めて身体が楽になり「第二の人生をもらいました」とおっしゃる方もいます。また、透析に入っても過度な運動制限は必要ありません。むしろ運動をする方が体力向上につながるとされています。
当科では、腎不全に至った原因解明と治療を行い、患者さんのご病状、生活に合う適切な医療を提供しております。血液透析、腹膜透析、いずれも可能です。何かございましたら、当科外来にご相談ください。