第132号 平成31年4月1日発行
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尿路結石症は、泌尿器科で最も多く診療する機会のある疾患の1つです。統計上の計算では、男性は7人に1人、女性は15人に1人が一生に一度は尿路結石になるとされています。成因については不明な点も多いですが、腎臓の中で尿中の成分などが固まって形成されます。特徴的な症状は背中、わき腹の強い痛みと血尿です。検査はレントゲンやCT検査などを用い、比較的容易に診断することができます。
数ミリ程度の小さい結石であれば自然に排出される可能性が高いため、内服薬を処方して経過を見ることが多いです。しかし、1㎝以上ある結石や1カ月以上経過を見ても排出されない場合は手術による治療が必要となります。昔は開腹手術が行われていましたが、医療機器の進歩によりほとんど見なくなりました。かなり大きな結石でなければ、ほとんどのケースは体外衝撃波破砕術(ESWL)または内視鏡による破砕手術(TUL)で治療可能となっております。当院でも、どちらの治療も対応可能です。
尿路結石症の大きな問題点は再発の多さです。せっかく1回治っても、5年以内の再発率は約50%と非常に高いのです。最近の調査では、肥満、高血圧、糖尿病といった生活習慣病との関連性が示されており、尿路結石症はメタボリックシンドロームの一疾患と捉えられます。尿路結石症の有効な予防法の一つは水分摂取です。食事以外に1日2000ml以上飲むようにします。ただし、糖分は結石形成を促進するので、砂糖を含む飲料は避けるべきです。食事としては、シュウ酸(葉菜類、茶やコーヒー、チョコレートなどの菓子類)、高プリン食品(肉、魚介、ビールやつまみ類)、塩分の多い食品は摂取しすぎないように注意が必要です。また、生活習慣においては、夕食を食べすぎないようにすることや、寝る前に食事をしない(夕食は寝る4時間前までに済ませる)ことも大事です。
当院では、泌尿器科専門医が尿路結石症の診断、治療、再発予防や生活指導にいたるまで行っております。なんでもぜひお気軽にご相談ください。