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けんこう家族 第142号

第142号 2021年10月1日発行

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閉塞性睡眠時無呼吸症候群

大石 展也

院長補佐兼呼吸器内科 部長
大石 展也


閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、睡眠中に上気道(咽頭)を開大する筋肉群の緊張が低下し、咽頭が虚脱して、気道が閉塞・狭窄するために、呼吸が止まったり、いびきが生じたりする病態です。気道閉塞(窒息)の繰り返しにより、頻回に覚醒が生じ睡眠が分断され、不眠や日中の眠気が生じます。また交感神経系が刺激され血圧上昇や頻脈をきたすと同時に、気道閉塞時の胸腔内の過剰な陰圧に伴う心負荷の増大、無呼吸に伴う低酸素血症の反復による酸化ストレスなどから、長期的に、心筋障害・心不全・動脈硬化など心血管系の障害を生じます。

発症の危険因子には、肥満、男性、加齢のほか、顎・顔面の形態、上気道軟部組織の肥大などがあります。最も重要な因子は肥満ですが、日本人では、顎・顔面の形態から、肥満がなくてもOSASの頻度が高いことが知られています。親兄弟では顔の形が似ているため、家族内発症も多いです。

症状は、日中の眠気が強い、疲れがとれない、不眠、夜間の多尿などですが、最も信頼性の高い症状は、睡眠中の窒息感やあえぎ呼吸です。周囲の人から、いびきや呼吸が止まるのを指摘されて受診される方も多いです。

診断は、上記のような症状、または、高血圧・冠動脈疾患・脳卒中などの疾患があり、睡眠ポリグラフ検査(PSG)あるいは簡易モニター検査で、1時間あたりの閉塞性優位の無呼吸・低呼吸の回数(AHI)が5回以上、または、症状・疾患の有無によらず、1時間あたり15回以上認められることによってなされます。簡易モニター検査は、外来で可能ですが、脳波の測定ができないため睡眠時間が判定できず、PSGよりAHIが低く見積もられることに注意が必要です。

治療には、持続陽圧呼吸(CPAP)療法、口腔内装置(OA)、減量、手術療法などがあります。CPAPは、顔面に密着させた鼻マスクなどを介して、大量の空気を気道に送り込んで上気道に圧をかけて、咽頭の虚脱を防ぐ装置で、中等症から重症のOSAS治療の第一選択です。軽症から中等症や、CPAPがうまく使用できない場合は、OAを用います。OAは下顎を少し前方に移動させて咽頭のスペースを広げる装置です。肥満がある場合、減量は重要な治療法で、OSASが改善する場合があります。口蓋扁桃やアデノイドなど切除にて気道開大が見込める場合は手術の対象となります。最近、ペースメーカーに似た装置を皮下に埋め込み、睡眠中に舌下神経の刺激を介して上気道を開大する筋肉群を刺激し咽頭を開大させる舌下神経電気刺激療法が承認され、今後の評価が待たれます。

呼吸してる?

OSASは、一般人口の5~20%に見られる頻度の高い疾患で、日本では、現在50万人近い方がCPAP療法を受けておられます。OSASは、交通事故の危険因子となるだけでなく、新型コロナウイルス感染症の重症化リスク因子にも挙げられ、最近さらに注目されています。

本稿をお読みいただいて、“もしかして?”と思い当たられた方は、是非、受診をお勧めします。


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