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けんこう家族 第147号【6】

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ネコ先生の『神楽坂通信』Vol.16

光井 洋

院長補佐兼消化器内科 部長
光井 洋


皆様こんにちは。今回は認知症についてのお話です。まず認知症とは、認知機能が慢性的に低下して日常生活に支障をきたした状態のことです。代表的な症状は記憶の障害(物忘れ)です。一般的に、年齢が上がるにつれて誰でも記憶力は低下してきます。そういった加齢による通常の物忘れは、体験の一部だけを忘れていて、例えば食事の内容が思い出せないといった程度のものです。一方、認知症においては、忘れたということを自覚できずに、食事をしたこと自体を覚えていない場合などがみられます。

認知症の症状には他にどんなものがあるでしょうか。脳の障害によっておきる「中核症状」には、物忘れの他に、物事の意味がわからない(失認)、時間・場所がわからない(見当識障害)、物事をやり通せない(実行機能障害)などがあります。外出したけれど家に帰れなくなった、などはよく聞くエピソードです。「中核症状」をもとにして生じる「周辺症状」には、睡眠障害、妄想、幻覚、徘徊、うつなどがみられます。

では認知症はなぜ起きるのでしょうか。原因はいくつか知られており、代表的なものはアルツハイマー病と脳血管障害です。前者はアミロイドベータ蛋白という老廃物がたまることで脳細胞が破壊される疾患で、原因の約6割であると言われます。後者では脳血管の破綻により脳細胞のダメージが起き、単独では認知症の原因の2割を占め、アルツハイマー病にも合併します。他にもレビー小体という物質が脳にたまるものや前頭側頭葉変性症などの原因が知られています。

認知症の検査には、質問式で認知機能を調べる長谷川式スケールや米国製のMMSEがあります。これに画像検査(MRIやSPECTなど)の結果を加えて総合的に診断します。認知症を治す薬は残念ながらありません。しかし進行をおさえる薬剤はいくつか知られ、脳内の神経伝達物質を増やすドネペジルが代表的なものです。

最近、認知症の一歩手前に当たる軽度認知障害(MCI)という病態が知られるようになりました。1年で10%が認知症に進みますが、進行がみられない場合も50%程度あります。このMCIの段階での対策が提案されています。重要なのは生活習慣病の改善です。高血圧、糖尿病、脂質異常症を治療し、禁煙をするなどです。食事の面では魚介類、野菜を増やし、筋力トレーニングなど運動を定期的に行います。脳を活性化させるトレーニングには決定的なものはありませんが、体を使いながら同時に脳も使うデュアルタスクが良いとする報告があります。これらの対策は健康な方にも、また認知症のレベルの方にも勧められるものです。

最後に、認知症の患者がいると、その介護がご家族の負担になる場合があります。介護保険制度を活用することで様々なサービスが受けられますので、必要な場合は利用をご検討ください。皆様の認知機能がこれからも維持・改善されていきますよう、生活習慣には気をつけてお過ごしください。


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