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けんこう家族 第142号【5】

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ネコ先生の『神楽坂通信』Vol.11

光井 洋

院長補佐兼消化器内科 部長
光井 洋


皆様こんにちは。新型コロナウイルスのワクチン接種を済まされた方も多いと思います。しかし感染性の高い変異株の出現もあり、今しばらくはマスク・手洗い・うがいなどで感染を予防してください。

さて今回は胸やけと食道炎のお話です。胸やけは、胃液や食事内容が胃から食道に逆流することで起きる症状です。胃液は強い酸性で、食べ物を溶かして消化しやすくします。胃の粘膜は粘液で覆われているので、胃液の刺激から守られています。一方、食道の粘膜は胃と違って、胃液が逆流すると刺激により不快感が起きます。この不快な症状が胸やけです。この食道への逆流が繰り返されると、食道の下部の粘膜が傷つくようになります。これが逆流性食道炎で、胃カメラで検査すると、食道と胃のつなぎ目において食道粘膜が白く濁ったり切れ込みが入ったりします。この障害の程度によって、最も軽いM(白濁)から最もひどいD(3/4周以上の粘膜障害)までの5段階に分けられます。

では、なぜ胃液の逆流が起きるのでしょうか。原因の一つにヘルニアがあげられます。普通、胃と食道のつなぎ目は横隔膜を通る穴の部分(食道裂肛)で括約筋によって閉じられており、食事や水分が来た時のみにそれが開く仕組みになっています。しかし、このつなぎ目が横隔膜より上に来ると、常に開き気味になるため、胃の内容が逆流しやすくなります。この状態が(食道裂肛)ヘルニアで、肥満などによる腹圧の上昇や加齢により起こります。逆流の他の原因としては、胃内容が多いこと(食べ過ぎ)、食べ物が胃にとどまる時間が長いこと(高脂肪食、飲酒過多)、あおむけの姿勢(食後すぐに寝る、長期臥床)などが考えられます。

次に、なぜ胸やけや食道炎が続くと良くないのでしょう。まず、逆流が何回も起きると、食事の摂取を含めた日常生活に支障をきたします。胸の痛みや睡眠障害が起きたり、仕事の効率が落ちたりします。食道の粘膜から出血して貧血になることや、慢性的な咳の原因になることもあります。また、食道炎が治った部位では、食道粘膜が胃の粘膜に置き変わります。これをバレットと言いますが、これが大きくなると腺がんが発生する原因になることが知られています。

胃もたれイメージ

最後に逆流性食道炎の治療ですが、まず前記の逆流しやすい生活パターンを変えること。食べ過ぎ、飲み過ぎ、早食い、脂っこい食事を控え、食べた後はすぐ横にならない、体重を減らす、などを心がけましょう。それでも症状が続く場合は、胃カメラ検査をして、食道炎の程度と症状に応じて、胃酸を抑える薬を服用してください。プロトンポンプ阻害剤という薬が最もよく使われます。症状が改善したら、減らしたり止めたりすることも可能です。

以上、逆流性食道炎のお話でした。胸やけの症状でお困りの場合は、消化器内科の外来でご相談ください。
皆様のご健康をお祈りいたします。


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