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心筋梗塞

はじめに

 「直前まで元気だったのに、突然亡くなられたとのことで、驚きました。」こんな話を聞いたことがあるかと思います。こうした突然死の原因の多くが、心血管疾患、特に心筋梗塞(虚血性心疾患)と考えられています。
 消防庁によると、2013年度の心原性の(心臓に原因がある)心肺機能停止症例数は75,397件とされています。このように心筋梗塞は、突然死の原因として特に重要な疾患です。

心筋梗塞とは

図1
図1

 心臓は心筋が収縮することで、血液を体のあらゆる場所に送るポンプとして働いています。心筋が収縮するためには、酸素や栄養が必要で、これは冠動脈と呼ばれる血管によって供給されます。図1のように冠動脈は心臓の外側を、心臓を包み込むように走っており、通常左冠動脈(LCA)と右冠動脈(RCA)の2本があります。
 この冠動脈が急激に閉塞すると、心筋は酸素や栄養をもらえなくなり、壊死におちいります。これが心筋梗塞です。
 それでは、冠動脈の閉塞はどうしておこるのでしょうか?
 ほとんどの場合、冠動脈の動脈硬化が原因とされています。動脈硬化により、血管内腔にコレステロールなどが蓄積したプラークが形成され、さらにこのプラークに何らかの刺激で亀裂が入り、血栓が形成されて、血管が閉塞すると考えられています。(図2)

図2
図2

どのような人に心筋梗塞はおこりやすいか

 男性では30代後半から増加し60代がピーク。女性では閉経後に増加し始め70代がピークと女性の方が、約10年発症が遅いと言われています。多くは動脈硬化が原因のため、高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常症、肥満など動脈硬化の危険因子を持っている人は要注意です。

どんな症状で心筋梗塞を疑うべきか

 突然の上半身の不快感(圧迫感、痛み、息苦しさなど)が生じ、15分以上続く場合は、心筋梗塞を疑います。冷や汗やめまい、吐き気を伴うこともあります。
 発症前の状態として梗塞前狭心症を伴わない心筋梗塞を約半数に認めるとされています。これらの方々では、発作の前ぶれが全くありませんが、逆に言うと、約半数の患者さんは、前ぶれとなる症状があることになります。数日前から何度か胸に不快感があったが、数分でおさまったので様子を見ていた。今回はおさまらなくなったので救急車を呼んだ、などの病歴もよく経験します。

心筋梗塞が疑われた時にはどうすべきか

 一刻も早く救急車で病院に行くことが大切です。以前は、心筋梗塞の死亡率が30%を超えていましたが、カテーテル等による治療が発達し、最近入院後の死亡率は7%程度になりました。一方、病院到着前の死亡率は依然高く14%程度と言われています。その理由は、発作直後(1時間以内)に危険な不整脈が生じ、急死することがあるからです。
 この不整脈は「心室細動」と呼ばれ、心室の中ででたらめに、興奮が生じて心臓のポンプ機能が失われ、意識消失、心停止・呼吸停止から、放置すれば死に至ります。この不整脈に対する唯一の治療が電気ショック(除細動)です。その意味で、AEDの普及も非常に大切と考えられます。
 繰り返しになりますが、このように心筋梗塞が疑われる症状があったときは、自宅で様子を見たりせず、一刻も早く救急車で病院に行くことが大切です。前述のように前ぶれとなる短い症状があることもあり、症状がおさまっても早めに病院で検査を受けるべきと考えられます。

心筋梗塞の予防法

 心筋梗塞を予防するために、毎年健診で心臓の検査を受けていれば充分でしょうか。知り合いが心筋梗塞で突然なくなったので、自分も心配で心臓の検査を受けたいと外来に来られる方も時々います。このような方には、心電図や、運動負荷心電図などの検査を行っていますが、これで異常が出なければ、心筋梗塞は安全と考えてよいのでしょうか。
 たとえば、人間ドックで胃カメラをやって、異常なしであったとすると、通常しばらくは安心と考えてよさそうですが、血管系の病気では、ちょっと話が違うように思われます。心筋梗塞とは、前述したように何らかの原因によって冠動脈のプラークが破たんし、そこに血栓がついて、血管が急激に閉塞することによっておこると考えられ、それまでは通常の検査では必ずしも異常が出ません。したがって、前述した高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常症、肥満など動脈硬化の危険因子を持っている方は、こちらのコントロールをしっかりすることの方が、心臓の検査を定期的にすることよりもある意味重要と考えられます。たばこを吸う方は今日からぜひ禁煙をしましょう。肥満のある方は減量をがんばりましょう。

終わりに

 心筋梗塞について、ポイントを3点復習します。

  1.  心筋梗塞は突然死の原因として重要
  2.  心筋梗塞が疑われる症状のあるときは一刻も早く病院へ
  3.  心筋梗塞は予防が大切

【この記事は「通信文化57号(2016年12月号)」(公益社団法人 通信文化協会発行) に掲載されたものです】

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