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ホーム  診療科のご案内  整形外科  膝骨切り術(ひざこつきりじゅつ)について
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膝骨切り術(ひざこつきりじゅつ)について

 ある住民検診による研究から、日本全国には変形性膝関節症(膝OA)の有症状患者が780万人いると推計されており、それは40歳以上の15人に1人という割合になります。整形外科外来にも多くの方が膝痛で受診されますが、なるほどと納得させられます。
 図1は膝のOA患者さんの右ひざのX線画像です。全体的にはO脚変形をきたしており、内側の関節は大腿骨と脛骨が衝突し(図の右側、赤矢印)、一方外側の関節(図の左側、青矢印)ではその間にスペースが残っています。

図1 変形性膝関節症の患者さんのX線画像
図1 変形性膝関節症の患者さんのX線画像


 図2は図1と同じ患者さんの内側関節(図1赤矢印)の関節鏡写真です。白い関節軟骨が摩耗して、その下のピンク色の骨がむき出しになっています。

図2 関節鏡写真、内側関節
図2 関節鏡写真、内側関節

 

 図3は同じ患者さんの外側関節の写真(図1青矢印)です。白くてスムースな関節軟骨が関節表面を覆っています。

図3
 関節鏡写真、外側関節
図3 関節鏡写真、外側関節


 このように内側関節、外側関節の軟骨の状態の不均衡が内側型変形性膝関節症の特徴です。
 膝骨切り術とは、膝関節近くで脛骨(すねの骨)の骨切りを行い、O脚を軽いX脚に矯正して、悪くなっている内側関節からまだ軟骨の状態の良い外側関節に荷重を移行し、膝内側痛や引っかかりなどの症状を改善するというコンセプトの手術法です。我々は内側楔状開大式高位脛骨骨切り術(Medial Opening Wedge High Tibial Osteotomy,OWHTO)(図4)という術式をおもに行っています。

図4 OWHTOの術式
図4 OWHTOの術式。左:点線に沿って骨切り 右:内側を開大してO脚を軽いX脚に矯正する。

 

図5 右膝OWHTO術直後X線像と術後10か月抜釘術後
図5 左)右膝OWHTO術直後X線像、
右)術後10か月抜釘術後。骨癒合は良好。

 

 骨切りして軽度のX脚に矯正したあとは、図5に示すようなプレートで固定します。開大したスペース(図4右の斜線部分)には腸骨からの自家骨移植や人工骨を充填します。腸骨からの骨移植は圧倒的に骨癒合が早いという利点があります。我々の施設では手術後3-4週間で全荷重(体重を全てかけること)を許可しています。図5の患者さんでは4か月後にジョギングを開始、10か月後にはプレートを抜去し、手術の1年後には京都マラソン、東京マラソンと2週連続で完走されました。
 膝OAの患者さんに行われる手術としては、他に人工膝関節置換術があります。骨切り術と人工関節置換術では適応に若干の違いがあります。骨切り術は登山やハイキングをしたい、マラソンしたい、スポーツを楽しみたいなど、活動性の高い方で膝OAの進行度が中等度程度までの方が対象です。一方、人工膝関節は進行してしまった末期の膝OAの方や高齢で日常的な生活、ウォーキングを楽しむ程度の活動性を望む方に良い適応があります。
 最近では、膝周囲骨切り術という新たな概念の下、ここで述べたOWHTO以外にも新たな術式も行われています。東京逓信病院整形外科では、患者さんのご希望にできる限り添えるよう、その患者さんに合った方法を適切に選択し、ご提案しながら治療に努めています。膝痛、変形性膝関節症でお困りの方は、是非一度ご相談ください。

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