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けんこう家族 第111号【5】

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アルコールと消化器の病気

消化器科 主任医長 光井 洋

消化器科 主任医長
光井 洋

 こんにちは。今回は飲酒と消化器疾患の関係についてです。皆さまはお酒が強いですか? アルコールは、主に小腸から吸収され、門脈という血管を通って肝臓に達します。そこで、第1段階でアセトアルデヒドに、第2段階で酢酸に代謝されます。酒の強さは、この第2段階に働くアルデヒド脱水素酵素の活性の高さにより、遺伝的に決まっています。

 酒は適量ならストレスの解消や人間関係の潤滑化に役立ちます。では、適量とはどれくらいでしょうか?尺度としての酒の1単位は、アルコール20gに相当します。これは日本酒1合、ビール中瓶1本(500ml)、ウイスキーダブル1杯、ワイン1/4本(180ml)に当たります。「健康日本21(厚労省)」では、適度な飲酒量は1日1単位であり、ほろ酔いする程度とされています。この量はまた、全死亡率が最も低下することで知られ、善玉のHDLコレステロールが増加して心血管疾患が減るため、と考えられています。しかし、飲酒によって何らかの病気が生じるようだと、それは適量とは言えません。度を越した飲酒が及ぼす影響を、肝臓・膵臓・消化管に分けて説明します。


 肝臓は最大のアルコール代謝臓器で、最もその影響を受けます。アルコールによる肝臓の障害として、脂肪肝、肝線維症、肝硬変などがあげられます。アルコールの代謝に伴って、肝臓内に中性脂肪が増えてたまった状態が脂肪肝です。進行するとGOT、GPT、γ-GTPなどの肝臓の酵素の値が血中で上昇します。また、アルコール多飲によって、活性酸素などの酸化ストレスが肝臓内に増え、破綻した腸粘膜からは細菌毒素が流入してきます。これらの影響で肝臓の中には線維が増えていきます。この肝線維症の時期を経て、ついには肝硬変の状態に至ります。アルコール性肝障害の診断基準では、「長期の過剰な飲酒」として、連日のアルコール摂取60g(3単位)以上を5年以上、と定義しています。現実的な注意として、週に2日は飲酒しない、いわゆる休肝日を設けることが大事です。また、採血データでは、γ-GTPは上昇しても正常上限の2倍まで、かつGOT、GPTは正常範囲であることが必要だと思います。

 もし、担当医に肝硬変だと言われたら、飲酒は厳禁です。初期の肝硬変は無症状ですが、飲酒を続けて肝機能が低下すると合併症が起こります。皮膚に黄疸が出て、腹水でお腹が張ります。食道の静脈が膨れ、破裂すると吐血します。意識がもうろうとなり、肝臓に癌ができます。症状が出始めてからでは手遅れです。

 次に、膵臓に対する飲酒の影響です。まず急性膵炎。アルコール多飲により、膵臓の組織が破壊され、上腹部や背中の強い痛みを伴います。急性膵炎から回復しても、その後に飲酒を再開すると、再発(58%)や、慢性膵炎への移行(41%)が起こります。慢性膵炎は、膵臓の炎症が持続した結果、膵組織が委縮して機能が低下した状態です。膵臓でのインスリン産生が低下して糖尿病になったり、消化液の産生が減って下痢や低栄養となったり、膵臓癌を合併したりします。

 続いて、消化管に対する影響を書きます。大量の飲酒は、急性胃炎や、出血や穿孔を起こすような胃・十二指腸潰瘍を引き起こします。また、腸粘膜が障害されて下痢や吸収不良を起こします。飲酒と消化器癌の関係もよく知られています。食道・口腔・咽頭の癌になるリスクは、1日1.5合以上の飲酒で8倍に上昇します。さらに喫煙が加わると、30倍にもリスクが上がります。また、大腸癌のリスクは、1日4合以上の飲酒で3倍に上昇します。


 最後に、アルコール依存について。以下のような項目でチェックします:自分で飲酒行動をコントロールできない、飲酒中止による離脱症状(手の震えなど)がある、明らかに有害な結果が起きているのに飲み続ける、など。肝硬変や膵炎だと医師に言われても飲酒を止めない人は、依存症なのです。日常生活での辛さを、アルコールを飲むことで一時的に忘れる…そしてその習慣から抜け出せなくなる。こういった依存症は、内科ではなく精神科の専門領域です。

 お酒は適量であれば人生における友人ですが、過量になると心と体をむしばみます。少しでも思い当たるところがある方は、今夜は是非ノンアルコールビールを。最近は結構味も良くなりました。それでは、Cheers !

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