医療従事者は、患者さんやご家族に寄り添い向き合いながら、医療や看護を提供しています。そこには、医療倫理があり、私たちには必要とされています。
一般に倫理とは「人として守り行うべき道。善悪・正邪の判断において普遍的な規準となるもの。道徳。モラル。」、道徳とは「人のふみ行うべき道。ある社会で、人々がそれによって善悪・正邪を判断し、正しく行為するための規範の総体。」などと示されています。道徳に比べて、倫理は個々人の関係から社会に至るまでより広範に用いられることが多いようです。看護師は、専門職として自らの行動を律するために、「看護者の倫理綱領」を定めています。倫理というものは、その組織の文化によって築かれていくものであるとも言えるようです。
患者さんと寄り添い、患者さんにとっていいことを考えているのに、患者さんの気持ち、ご家族の気持ち、医療者の気持ちに違いが生じることがあります。その時に、さまざまな職種の医療者が集まって、患者さんの治療方針や退院後の生活についてカンファレンスを行います。
また、日々行っている清拭(温かいタオルで体を拭く)を行う際も、患者さんの病状や清潔保持、精神状態へのケアなどの面から、最もいい方法、時間を選択・判断して行うケアであり、その判断は看護倫理に基づいています。
このように、看護倫理とは、患者さんご本人の気持ちを第一優先にした上で、患者さんを取り巻くご家族・医療チーム・病状などの背景を踏まえながら、「その患者さんにとって、最も良いことは何か?」を考えることです。
アメリカのある病院に、一看護師だが、とても有名なブライアンさんという人がいました。その病院で、何か新しいことを始めようとするときには、病院の会議でブライアン看護師に必ず意見を求めたそうです。ブライアン看護師は必ず「それは、患者さんにとっていいことですか?」と聞いたそうです。
7階西病棟は、医師・看護師を始めとした医療者のチームワークが自慢です。日々のケアの中で患者さんを第一に考えた医療・看護を提供するよう、協力しています。7階西病棟では、昨年度から看護倫理を学び、日々の看護の中で、「あれ?これでいいの?」と感じたことを、共に考え、よりよい看護を提供できるような取組みを始めています。看護師全員が、ブライアン看護師のように、患者さんにとっていいことを考え、実践していけるような病棟を目指しています。