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けんこう家族 第111号【8】

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うつ病の話 第1回

精神科 部長 亀山 知道

精神科 部長
亀山 知道

 昨年までは、認知症の父の介護など、自分自身の経験をもとにして、認知症の話や対人関係を円滑にする方法などについて書いてきました。今年は、うつ病について書きます。

 うつ病とは、端的に言うと、気分が落ち込み、元気がなくなって、何もしたくなくなる病気です。仕事上の過度なストレス、失恋、身内や親しい人の死など、いやなことや悲しい出来事に遭遇すると、気分が落ち込んで憂うつになり、何もしたくなくなるということは、誰もが経験することです。しかし、そういう「落ち込み」は、いつまでも続くものではなく、ある程度は時間が解決してくれます。ところが、その「落ち込み」が長く続くと、「うつ病」を心配しなければなりません。このように原因のはっきりしているうつ状態の時には「反応性うつ病」とか「状況依存性うつ病」などと言われます。これに対して、はっきりとした原因がないのに落ち込むことがあり、これは「内因性うつ病」と言われます。

 「うつ状態」に陥っている方をみた場合には、はっきりとした原因があるかないかを見定めることが重要です。なぜなら、はっきりとした原因のない「内因性うつ病」の方の場合には、十分な休養と抗うつ剤を中心とした薬物療法が治療の主体となるのに対して、はっきりとした原因のある「反応性うつ病」ないし「状況依存性うつ病」の方の場合には、その原因を取り除くことが、治療上、最も重要となるからです。

 私が精神科医になって2年目の頃、大学病院の精神科外来でみた初診の患者さんの中に、「内因性うつ病」の患者さんがいました。その方は40代の男性会社員で、奥様と2人のお子様の4人家族の方でした。仕事や対人関係のストレスで、特に悩んでいるわけでもないのに、何故か、元気がなくなってしまい、おっくうで何もやる気になれない、夜良く眠れず、夜中何回も目を覚まし、いざ、朝起きる時間になると、気分が沈み、憂うつで、どうしても起きられないという方でした。特に、朝から午前中の不調を強く訴えていました。

 私は、「内因性うつ病」と診断し、とりあえず1か月間、病気休暇の診断書を発行し、ゆっくり休むよう指示しました。そして、抗うつ剤と睡眠導入剤を処方して、「睡眠導入剤は今晩から効いて、眠れるようになります。抗うつ剤は、すぐには効かないかもしれませんが、1週間くらいのうちに徐々に効いてきます。すぐに効かなくても薬を飲むのをやめないで、きちんと飲み続けて下さい。そして、2週間後に、また奥様と一緒にいらして下さい。」と話しました。

 すると奥様が、「何故、次回も私が一緒に来なければならないのですか。来る途中で、電車に飛び込む心配があるということですか。」と、びっくりしたように言われたのです。

 私は「いや、そうではなくて、2週間の自宅での変化を一番よくみているのは奥様でしょうから、その様子を知りたいので。」と、冷や汗をかきながら、そう言って取りつくろったのですが、それは私の本心ではありませんでした。

 研修2年目の新米精神科医は、「奥様があまりにも綺麗な方なので、次回も奥様とお会いしたいと思ったものですから」と、本当のことを言うことができなかったのです。

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