真夏の暑さも一段落し、秋の足音が聞こえてきた今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回は、当院で職員向けに行っている救急蘇生訓練についてご紹介いたします。巷では、AKBなど3文字熟語をよく耳にしますが、その中でもAEDという単語を御存じでしょうか?
このAEDとはAutomated External Defibrillatorの略で、日本語では自動体外式除細動器といいます。死に至る危険な不整脈を感知し、心臓に電流を流すことで正常な脈拍に戻すための器械です。現在、人の集まる複合施設(駅やビル)や公共施設などに配備されており、一度は目にしたことがある方も多いと思われます。この器械は講習を受けた一般市民の方も操作可能です。日本では2004年に日本航空が客室乗務員の方でも機内で取り扱えるように訓練を行ったことで、以後急速に一般市民の方でも操作できるようになり、全国に広まりました。さて、話を院内に戻します。当院では2=3ヶ月に1度、院内・院外の医療従事者向けに日本救急医学会認定の救命講習が開催されています。当院の救急医学会公認のインストラクターがこの指導にあたります。1回の講習時間は午前8時~午後5時として行われます。内容は正確な胸骨圧迫(心臓マッサージ)、AEDやモニター付き除細動器の使用方法、救命薬剤の使用方法、気管内挿管の訓練などの基本事項を行います。そしてこれらの手技を全て網羅した30個近いシナリオを用いて6名1チームで対応します。胸骨圧迫のし過ぎで手背の皮膚が剥ける訓練者が出るなど、体力的にも精神的にもかなりきつい訓練です。人の脳は心臓が止まって(頭に血流が行かなくなって)から、3分後より徐々に脳細胞にダメージが生じ始めます。また、心臓が停止してから10分経過すると、救命率がほぼ0%に近くなります。このことを踏まえ、当院医療従事者はこのような訓練を行うことで不測の事態に備えています。