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けんこう家族 第114号【5】

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うつ病の話 第3回

精神科部長 亀山 知道

精神科部長
亀山 知道

 これまで、うつ病には、落ち込む原因のはっきりしている「反応性うつ病」と、はっきりとした原因なしに起きる「内因性うつ病」があることを述べ、さらに「内因性うつ病」の治療について具体的に述べてきました。今回は、「反応性うつ病」の治療について述べます。

 反応性うつ病は落ち込む原因がはっきりしている「うつ状態」ですので、病状に応じて抗うつ剤なども投与しますが、落ち込む原因を取り除くことが治療の主眼となります。

 落ち込む原因は色々ありますが、ここでは、職場の異動に伴い、うつ状態になった方の場合の対応について述べてみます。

 具体的には、それまでは、問題なく仕事をこなせていた方が、転勤により職場環境が変わり、その新しい環境に適応できず、うつ状態になったという場合です。

 患者さんは、「先月、転勤してきたが、仕事のやり方が以前の職場と違い面食らっている。仕事のことが気になり、寝つきが悪くなってきた。何とか休まずに頑張ってきたが、限界にきた。初めのうちは、朝、職場に行くのがおっくうで辛かったが、金曜日の夜から日曜日の夜までは、仕事のことを忘れて、ゆっくりすることができた。休みを楽しむこともできた。我慢して出勤しているうちに、朝の憂うつな気持ちが強くなってきた。特に、月曜日の朝が辛い。金曜日の夜から日曜日の昼までは良いが、日曜日の夕方になると翌日の仕事が気になりだし、日曜日の夜の不眠がひどくなってきた。寝付けないだけでなく、寝付いてもすぐに目が覚めるようになってきた。それも我慢していたら、土曜日も元気が出ず、おっくうで休みの日の外出も嫌になってきた。」というように、悩みを話されます。

 この例のように、職場に適応できない形の反応性うつ病では、職場に行く日とその前夜の不調からはじまり、徐々に進行して、職場に行かない日も憂うつで体調が悪いということになっていきます。重症なうつ病になるのを防ぐためにも、早期の対応が望まれます。

 このような方が、相談に来られた時には、新しい職場環境に適応できない理由を明らかにする必要があります。よくある理由は、(1)新しい仕事になかなか慣れることができない、(2)新しい仕事が自分の不得意な内容であり、自分に向いていない、(3)職場の人間関係に適応できない、といったことです。

 私は、職場環境を確かめた上で、(1)新しい仕事になかなか慣れることができないが、慣れればやれると思われる方の場合には、本人と職場上司に、「慣れれば実力を発揮できるようになる。」と説明したうえで、しばらくの間、様子をみることにします。(2)新しい仕事が自分の不得意な内容であり、自分に向いていないという方の場合には、以前勤まっていた内容の仕事に戻していただけるよう、職場上司に働きかけます。そして、(3)職場の人間関係でつまずいている方の場合には、職場環境の調整を図ります。たとえば、上司の対応が厳しすぎると思われる時には、病気の性質を説明し、頭ごなしに叱ったりすることをしないよう働きかけます。しかし、上司との関係がこじれてしまっており、お互いに嫌気がさしてしまっているような方の場合には、異動を考慮するよう職場の管理者に働きかけます。

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