今年は、6月から気温の高い日が続き、東京都心では6月の真夏日は13日と過去最多を記録しました。
当院の救急総合診療科にも連日、熱中症の患者さんが救急車で搬送されています。
熱中症は原因を知り、対策することで予防することができます。
熱中症は、高温多湿な環境に長くいることで、体の中の水分や塩分(電解質)のバランスがくずれ、体内に熱がこもることで起こる様々な症状の総称です。
人の体では、体内で産生された熱を様々な方法で外部と熱交換することで体温を一定に保っています。熱交換の方法としては、汗をかいて皮膚から気化熱として熱を逃がしたり、熱伝導を利用し皮膚から熱を逃がしたりしています。
しかし、
などの条件がそろうと、体温が異常に上がり、体の機能がうまく働かなくなってしまうのです。
熱中症の症状は、軽いものから重いものまでさまざまです。
重症度 | 主な症状 |
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軽度(I度) | めまい・立ちくらみ、筋肉のけいれん、汗が止まらない、顔が赤い |
中等度(II度) | 頭痛、吐き気・嘔吐、体がだるい、集中力低下、判断力低下 |
重度(III度) | 意識がない、反応が鈍い、汗が出ない、高熱、痙攣 |
熱中症の診断において、軽度と中等度の区別に迷うことによく遭遇します。大きな違いは軽度では水分を自分で摂取出来る事です。
軽度の場合には後述するような対処を行い、20~30分程度経過観察して下さい。状態が改善するようなら対処を継続し、状態が悪化するようなら迷わず救急車を要請しましょう。
救急要請には一定のハードルが勿論ありますが、中等度の熱中症の場合には状態が更に悪化し死亡することもありますので、原則として救急車を要請しましょう。
重度の場合、高度の脱水、腎不全、出血傾向などを伴い、死亡あるいは重い後遺症を残すことがありますので、迷わず迅速に救急車を要請しましょう。
いずれも症状が重くなる前に、早めの対応が重要です。