近年、効率的に効果的に胃がんの早期発見・早期治療につなげられる胃がん検診として、「胃がんリスク検診」(当院では、胃がんハイリスク検査)が注目をされており、導入する自治体や健康保険組合が増えてきています。
胃がんの発生にはピロリ菌が深くかかわっており、日本を含む東アジアに多い遺伝子型のピロリ菌は発がん率が高いことが判っています。ピロリ菌の感染のない人から胃がんが発生することはごくまれです。
また、ピロリ菌感染によって胃粘膜の萎縮が進むほど、胃がんが発生しやすくなります。胃粘膜の萎縮の程度は、胃から分泌されて消化酵素ペプシンのもととなるペプシノゲンという物質の血液中の濃度を測定することでわかり、基準値以下の人は、6~9倍胃がんになりやすいことがわかっています。
この2つの「ピロリ菌感染の有無(血中のH.ピロリ抗体)」と「胃粘膜萎縮の程度(血清ペプシノゲン値)」を測定して胃がんになりやすい状態かどうかをA~D群に分類する検査です。
胃がんハイリスク検査(ABC検査)は、がんそのものを見つける検査ではありません。胃がんになる危険度がきわめて低い、「ピロリ菌の感染がなく胃粘膜が健康な人たち」か、「ピロリ菌に感染(またはかつて感染)して胃粘膜に萎縮のある人」たち(B~D群)で分類し、胃がんのかかりやすさを判別する検査です。
検査は簡単で人間ドックで採血時に少し多く採血するだけで検査できますし、結果も当日中に判ります。但し、検査をおすすめできない場合がありますので詳しくは、スタッフにお尋ねください。
ピロリ菌による感染は4歳以下で起きるので、一生涯に1度の検査で大丈夫ですので、人間ドックの機会に是非、お受けください。本検査は保険適用となっておりませんので、当院では人間ドックのみで実施しておりますので、人間ドックも併せてご検討ください。
(1)(GHN1号)
(2)除菌成功により胃がん発生リスクが30%に低下(26号)
(3)除菌後胃がんの48%が除菌後3年以内に、34%が除菌後5年以内に発見(26号)
(4)自覚症状のある人は必要、過去に画像検査を受けていない人は医師と相談(22号)
(認定NPO法人 日本胃がん予知・診断・治療研究機構 2014)
GHN…日本胃がん予知・診断・治療研究機構 機関紙 1・22・26号…機関紙発行番号