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けんこう家族 第117号【6】

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神経症の話 第1回 不安神経症

精神科部長 亀山 知道

精神科部長
亀山 知道

今回からは、神経症について書きます。

神経症とは、精神的なストレスが原因となって、種々の精神症状や身体症状が出る病気です。不安神経症と強迫神経症が代表的なものですが、対人恐怖、視線恐怖、赤面恐怖、高所恐怖、閉所恐怖、不潔恐怖など、色々な恐怖症も神経症に分類されます。

今回は、不安神経症について述べます。

不安神経症は、最近はパニック障害と呼ばれることが多くなりました。不安と不安発作(パニック発作)を主な症状とする神経症です。不安発作とは、強い不安に襲われ、動悸がしたり、息苦しくなったり、異常なほどの大量の汗をかいたりする発作です。初めて不安発作を起こした時には、死の恐怖を感じることが少なくないのです。息苦しさのあまり、呼吸が速くなってしまうこともしばしばあります。これは過換気発作とか過呼吸発作と呼ばれています。ひどい時には、呼吸のしすぎで、身体中の二酸化炭素の量が少なくなってしまい、手足がしびれたりします。そのため、過呼吸発作が起きたら、「自分のはく息を紙袋に入れ、二酸化炭素の多く含まれている、その空気を吸いなさい。」と言われます。

仕事のストレスがたまっている時などに、出勤時の満員電車で不安発作を起こす方が時々います。この方は、翌日また同じ出勤電車で不安発作を起こすのではないかという不安(これを予期不安といいます)を持って生活することになります。そして、予期不安を持って出勤電車に乗ると、実際に不安発作が起きてしまいます。不安発作が起きると、また起きるのではないかという予期不安が強まります。このように、「不安の悪循環」ができてしまうと、そこから抜け出せなくなります。

不安神経症の治療は、この「不安の悪循環」を断ち切ることです。具体的な対処方法は、まず内科を受診して、動悸や息苦しさが、心臓や肺の病気のせいではないかを確かめることです。そして、心臓や肺に異常がないことがわかったら、不安発作が起きた時に、「これはストレスが原因で起きた発作であり、身体に異常はない。死ぬことはない。」と自分に言い聞かせ、落ち着くことが重要です。

症状が軽い方の場合には、「身体の病気ではない」と、わかっただけで不安が軽くなり、不安発作が治まることもあります。症状が比較的重い方の場合には、精神安定剤(抗不安薬)を飲んでいただきます。1日に2~3回、定期的に飲んでいただくこともありますが、精神安定剤を常に何錠か持っていて、不安が強い時や不安発作が起きそうに感じた時に、精神安定剤を頓服として飲む方もいます。

このように、身体の病気ではないことを確かめ、不安発作の発生メカニズムを理解し、必要に応じて精神安定剤を服用することによって、「不安の悪循環」を絶つことができれば、不安発作は治まっていきます。そして、朝の満員電車で出勤しても、不安発作が起きなかったという体験を繰り返すことで自信を回復することができて、さらに、不安発作を起こすきっかけとなった、もともとのストレスがきちんと解決すれば、不安神経症は治ります。

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