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けんこう家族 第125号【2】

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もし、あなたや家族が頭を打ったら

脳神経外科部長 伊藤 正一

脳神経外科部長
伊藤 正一


2017年4月から脳神経外科部長を拝命いたしました、伊藤でございます。

この機会に「けんこう家族」を手に取っていただいた方にぜひともお伝えしたことがございます。それは頭を打ったら、すぐに脳神経外科を受診してほしいということです。

私も脳外科勤務医として36年、務めてまいりましたが、最初のころから現在まで、ずっと変わっていないことがございます。それは頭を打った患者さんが、何日もあるいは2−3週間も経過してみずから心配になり、あるいは誰かに助言されて(おどかされて?)外来を受診されることです。皆さまも、頭を打ったら重大な障害を残したり、生命にかかわることがあることは十分にご存知のようですから、「頭のことだから心配になって」と口々におっしゃるのですが、すぐに来られないことが多いのです。意識不明になる大けがや、たくさん出血でもしていれば(そう、頭の傷というのはすごくたくさん血が出るのです)救急車で運ばれてくるのでしょうが、問題はそうでない場合です。どういうわけか、最初のうちは「様子を見てしまう」のですね。

実は頭を打って容体が急に悪くなるのは初めの数時間、長く見積もっても丸1日くらいのことがほとんどなのです。意識不明に陥ってからでは、急いで手術をしても回復しないこともあるのですから、夜間だろうが週末だろうが、脳外科医が居てCTを撮れる病院に行かなくてはなりません。打った後でもケロッとしていて迷うのでしたら、東京消防庁救急相談(#7119)に電話しましょう。脳外科医がいる病院を教えてくれますし、本当に急ぐのかどうかも教えてくれます。

なぜか、この世界ではいわゆる「都市伝説」というのが信じられているようです。曰く「コブができれば中身は大丈夫」ですとか、「外に血が出れば中には出ていない」とかいうものです。よく急患室でこういう話を聞きますが、まったくのでたらめなので信じてはいけません。もっとも「後頭部を打った時は危ない」というのは本当のようで、大したぶつけ方でもないのに脳挫傷になっていることがあります。

さて、「急いで」という話ばかりしましたが、一つだけ違うお話もいたしましょう。主にご高齢の方やお酒をよく呑むような方ですと軽いぶつけ方なのに、1−2ヵ月して脳の表面に血が溜まっていることがあります。慢性硬膜下血腫というものです。高齢の方ですとマヒや言語障害がゆっくり現れ(急変は多くありません)、中年までですとしつこい頭痛になることがあります。頭を打ったことを忘れていると、脳梗塞や認知症と間違えられることもありますので、こういった症状の方はやはりCTを撮りに来ていただきたいです。血腫の量にもよりますが、30分の手術と10日の入院で、たいていは治ります。

 

苦言を申し上げましたが、ぜひ憶えていただきたいのが『頭を打ったらすぐCT』、これです。


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