患者さんから採取された血液や尿などを調べる「検体検査」と 心電図、超音波、呼吸機能など患者さん自身に直接触れて行う「生理機能検査」があります。大きく2つに分けられ、実はこれが「臨床検査」です。それぞれの検査を臨床検査技師が行っています。
病院での検査で最もよく行われているのは血液を使った検査かと思います。採血される時、何本もの採血管を目の前にして「えっ、こんなにたくさん採るの?」「1本にまとめて採ってくれればいいのに…」「どの採血管で何の検査ができるの?」などと思ったことはありませんか? 採血管のキャップの色、長さや太さが違っていることに気づかれた方はいるでしょうか? 今回は血液を採取する際に使用する採血管についてお話したいと思います。
●凝固させて分離した上澄み(血清)を用いるもの
●凝固させないで分離した上澄み(血漿)を用いるもの
●全血(血液のまま)を用いるもの
などがあります。
血液は体の外に出てそのままにしておくと自然に固まってしまいます。固めて遠心分離した上澄みを血清といい生化学検査などに使用します。水色のキャップの採血管で分離剤(底に白いもの)が入っています。この分離剤は遠心分離した時に血清と血球を分ける働きをします。固まってしまったら測定できない検査に使用する採血管には、血液が固まらないよう抗凝固剤と呼ばれる薬剤(白い粉末や透明な液体)が入っています。採血管にはたくさんの種類がありそれぞれ検査の目的により使用する採血管が異なります。このため何本もの採血管が必要となってきます。採血管の本数や採血量は患者さんによって異なりますが、多くの方は約大さじ1杯程度かそれ以内です。採血管1本1本に入る量も1ml~多くても9ml程度です。そんなに多くないと知っていたら少し安心でしょうか?当院のほとんどの採血管は中が真空(陰圧)になっていて一定の量しか採血されないようになっています。
ではそれぞれの採血管で何の検査ができるのでしょうか?ほんの一部ですが採血室でよく見かける採血管について紹介したいと思います。
検査項目 | キャップの色 | 薬剤 分離剤 |
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血算 | 紫色 | 白い粉末 | 血液中の赤血球・白血球・血小板などの数や形態を調べます。貧血の状態もわかります |
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>生化学 | >水色 | >分離剤 凝固促進フィルム |
肝機能、腎機能、脂質、肝炎ウィルス、ホルモン、腫瘍マーカーなどを調べます |
>血糖 | >灰色 | >白い粉末 | 血液中の血糖(ブドウ糖)、ヘモグロビンA1cを測定します |
>凝固 | >黒色 | >透明な液体 | 血液の固まりやすさを調べます。また、血液の流れを良くするお薬の効果もわかります。 |
>血沈 | >橙色 | >透明な液体 | 体の中で炎症が起きていないか調べます |
いかがでしたでしょうか?
今度、採血の機会があった時にはこんなところも注目してみてください。
臨床検査科は患者さんへのより良い医療の手助けになれるよう迅速かつ正確なデータの提供を心がけています。