先日受けた検診の結果が返ってきました。便潜血検査が陽性のため、医療機関を受診して下さいと書いてあります。さて、あなたならこの後どうしますか?
一次検診で便潜血陽性を指摘された後の、二次検診の受診率は60~70%と言われています。残りの人たちは何らかの理由で、精密検査を受けていないことになります。検診を受けましょうという言葉はよく耳にすることがあると思いますが、検診で引っかかったら精密検査を受けましょうという言葉は、聞く機会が少ないかもしれません。検査を受けない理由としては、「自覚症状がないから」、「忙しくて時間がないから」、「単純に忘れたから」、「痔からの出血だと思ったから」などが考えられます。しかしながら、そもそも便潜血陽性であることが、どれくらいの確率で大腸癌の危険があるということなのかピンと来ない、ということが根底にはあるのではないでしょうか。実際に、便潜血陽性で精密検査を受けた人たちの中で、癌が見つかる確率は4%程です。ちなみに、ポリープが見つかる確率は30%程になります。4%を高いとみるか低いとみるかは、人によって判断が分かれるかもしれません。25人に1人しか当たらないと言われれば、自分は運が強いから大丈夫という人もいるでしょう。しかし、もし当たっていたら命に係わるかもしれないとなると、途端に心配になってくるのではないでしょうか。
では実際に病院を受診すると、どんな精密検査が行われるのでしょうか。一般的には大腸内視鏡検査が行われます。まず検査当日の朝に、1~2Lの下剤を飲みます。何度もトイレに行って、便が透明になってきたところで、検査が始まります。おしりから内視鏡を挿入して、大腸全体を直接観察するので、精度の高い検査です。検査中に一緒に画像を見ながら、お話しすることもできます。自分の内臓を見る機会など滅多にありませんから、とても貴重な経験ですよ。一点ご注意いただきたいのは、検査前日ないしは数日前から、繊維分の多い食事は控えるということです。これを怠ると、何度トイレに行っても便がきれいにならないだけでなく、残った便のために大腸をくまなく観察することが難しくなり、検査の精度も落ちてしまいます。
コロナ禍に入ってから、癌の手術件数が減っていると言われています。原因としては、検診の受け控えや、病院の受診控えなどが考えられます。癌の発生そのものが減るとは考えにくいので、今後、早い段階で癌が見つかる人が減り、進行した状態で見つかる人が増加することが予想されます。自分の体を守れるのは自分だけです。せっかく検診を受けたのなら、その結果もしっかり受け止めて受診しましょう。