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けんこう家族 第143号【5】

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ネコ先生の『神楽坂通信』Vol.12

光井 洋

院長補佐兼消化器内科 部長
光井 洋


皆様、新年明けましておめでとうございます。昨年は新型コロナウイルス感染に大きく影響されました。今年は通常の日常生活が送れるように祈ります。

さて、今回のお話はバイアスについてです。バイアスはもともと心理学のことばであり、認知のゆがみ、先入観など色々な意味を持っています。「その考えはバイアスがかかっているんじゃないの?」などと使われます。

我々は進化の過程で、生存に有利な体の形を持ったものが生き残ってきました。一方心理学的にも、生存に有利に働く考え方や判断があり、その「くせ」がバイアスとして我々の心の中に残っているとされます。例えば、「人は自分のことを実際よりもよい・正しいと考える」「自分の心の中の思い込みに合う事実を選んで認知する」「よくみかけるものはよくおぼえるし思い出しやすい」などです。これらのバイアスが働くことで、心のストレスを減らすことができたり、ミスを減らして素早い判断ができたりというメリットがあります。しかし、場合によってはこれらのバイアスが不都合を起こすことがあります。

医療の現場において、どういう場面でバイアスが生じるのでしょうか。まず患者さんの側で考えると、「自分には悪いことは起きない」という楽観的なバイアスが強く働くと、病気の診断が遅れることがあります。血便がある、体重が大きく減った、などの状態を放っておくと、がんが進行しているかもしれません。症状が続く時や、健康診断で精密検査を勧められた時なども、放置しないで病院を受診してください。

医療者の側で言うと、思い込み、情報に引きずられる、などのバイアスによって診断を間違える可能性があげられます。飲酒が多い・肝酵素が上がっている、という患者さんのお話を聞いて「アルコール性肝障害」だと思い込んでいたら、検査の結果「ウイルス性肝炎」だったという場合などがこれにあたります。我々医療者は常にこれらのバイアスに注意して、正しい診断を目指さなければいけません。

先入観・真実イメージ

最後に個人のものではないですが、メディアに関するものについて。新聞・テレビ・ネットなどの情報には偏りがあることがあり(メディア・バイアス)、健康情報でも人をひきつけるように発信する傾向があります。テレビの健康番組で取り上げられた内容は、翌日の外来で複数の患者さんから話にでることもよくあります。「印象的な情報は認知されやすい」という個人のバイアスもありますので、その情報は本当に正しいのか、自分のためになるのかを良く考えて取り入れるようにしたいものです。

しばらくは寒い日々が続きますので、皆様お身体には十分注意してお過ごしください。

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