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けんこう家族 第144号【5】

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ネコ先生の『神楽坂通信』Vol.13

光井 洋

院長補佐兼消化器内科 部長
光井 洋


皆様こんにちは。ようやく暖かい季節になりました。そろそろコロナウイルスの感染も収まって通常の生活が戻ってきて欲しいものです。

肝臓 胆のう 胆のう管 総胆管 十二指腸 十二指腸乳頭 胃 肝管

さて、今回は「胆のう」のお話です。胆のうは肝臓の裏面に貼りついている臓器で、胆汁をためておく貯蔵庫の働きをします。胆汁は肝臓で作られる消化液で、肝臓内の細い管を通して集まり、左右の肝管から下流に流れます。その後に枝分かれする胆のう管が胆のうとつながり、胆汁を一時ためておく仕組みになっています(図)。そこで水分が吸収されて濃縮されます。

胃で消化された食べ物が十二指腸を通過すると、粘膜の細胞からホルモンが血中に分泌され、その刺激によって胆のうが収縮します。その結果、たまっていた胆汁が胆のう管から総胆管を通り、乳頭という開口部から十二指腸に流れ出ます。その胆汁が脂肪と混じりあうことで、その後の消化吸収が容易になるわけです。

消化を助ける働きをする胆のうですが、いくつかの病的な状態があります。よく知られるものが「胆石」です。胆のう内の胆汁が濃縮されて結晶成分が固まり、大きくなったものが胆のう結石です。一番の問題は痛みの発作です。食後に胆のうが収縮した時、石が出口の胆のう管にはまり込んでしまって右上腹部が痛む状態です。胆のうが張った状態が続くと炎症が起きます(「胆のう炎」)。また、小さな石だと胆のう管を通過して総胆管に落ちることがあります。この総胆管結石が出口の乳頭に詰まると、黄疸や胆管炎、さらには細菌が血液中に入る菌血症に至り、ショックから命にかかわる可能性もあります。胆のう結石は内服薬で小さくなる場合もありますが、カルシウム成分がない(レントゲン・CTで映らない)場合に限ります。胆のう結石による痛みの発作が一度でも起きたら、手術が必要です。最近は腹腔鏡というカメラを使った手術が標準的な方法で、傷も小さく数日の外科入院で済みます。一方、総胆管結石は内視鏡を使って取り除く方法があり(ERCP)、当消化器内科では専門家が安全第一に行っています。

次に、健診などの腹部エコーでよくみつかる「胆のうポリープ」があります。これは胆汁内のコレステロールが粘膜に付着してできるものや、粘膜の一部がふくれてできるものがあります。9割は前者のコレステロールポリープで、特に問題は起こしません。皆様が最も心配なものは後者に含まれる「胆のうがん」だと思います。これは高齢者に起きることが多く、サイズの大きいものやいびつな形のものについては他の画像検査で悪性の可能性を調べなくてはいけません。一方、1cm未満のポリープにがんはないとされますので、小さなものであれば心配ありません。

以上の胆のうの病変がみつかったら、症状があれば治療を、無症状でも年に一度の腹部エコー検査をお勧めします。最後に、手術で胆のうを取ってしまっても大丈夫かという疑問についてですが、その場合も消化吸収には問題ないと考えられていますのでご安心ください。もし胆のうのことでご心配があれば、一度消化器内科か外科の外来でご相談ください。


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