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けんこう家族 第145号【5】

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ネコ先生の『神楽坂通信』Vol.14

光井 洋

院長補佐兼消化器内科 部長
光井 洋


皆様こんにちは。暑い季節になりましたが体調はいかがでしょうか。冷たいドリンクを飲んでも通常は食道に流れ、間違って気管に入ることはありません。これは飲み込む機能がうまく働いているからです。今回はこの「嚥下機能」についてのお話です。

いつもは無意識に行なわれる嚥下ですが、色々な神経や筋肉の働きがつながって、多くのステップを通して進んでいます。その過程のどこかに障害が生じると、嚥下機能の低下が起き、飲み物や食べ物が気管に入ってしまいます。気道に異物が入っても少量であれば咳反射によってのど(咽頭)に押し返されます。しかし異物が声門を超えると「誤嚥」と呼ばれ、肺まで落ち込んでしまうと炎症が生じることがあります。これが誤嚥性肺炎です。これは我が国の死亡原因の6位になっていて、高齢化社会が進むにつれて増えていくことになります。

摂食・嚥下のステップ

摂食・嚥下のステップを順番に見て行きましょう。これは5つの過程に分けられていて、まず食物を認知して口に取り込む先行期、次に食物をかみ砕いて塊としてまとめる準備期、続いて食物塊を咽頭に送る口腔期、そして咽頭に運ばれた食塊を食道に送る咽頭期、最後に食道の動きによって胃へ送る食道期です。この中で特に精巧な部分が咽頭期です(右図)。嚥下するときには、軟口蓋が持ち上がって鼻腔への侵入を防ぎます。また喉頭蓋が気道に蓋をし、声門も締まることで誤嚥を防ぎます。そして筋肉が緩んで食道の入口が開き、食塊が食道に運ばれます。以上のことが瞬間に反射的に起きているのです。

これらのステップのどこかに障害が起きると嚥下がうまくできません。その原因は色々で、脳血管障害、体力低下、加齢、神経疾患、認知症などがあげられます。

では、嚥下障害の症状としてどういうものがあるのでしょうか。物が飲み込みにくい、食事中にむせる、痰がからむことが多い、などがあります。嚥下障害の最初の検査として、まず唾液や少量の水、少量の食物を嚥下してもらい、のどの動きや咳・むせの有無を目で観察します。このテストで異常が認められた場合は、画像検査に進みます。これには、鼻腔から入れた内視鏡によって嚥下時の咽頭部を直接観察する方法とX線透視を用いて嚥下したバリウムの動きを観察する方法があります。

カラオケイメージ

これらの検査によって嚥下障害と診断されたら、その程度、障害の部位に応じて訓練を行うことになります。内容としては、構音訓練、舌運動、冷圧刺激、頭部挙上、口すぼめ呼吸、などがあり基本的には嚥下にかかわる、のどの筋肉の強化が主体です。また誤嚥を防ぐ食べ方として、とろみをつけて飲み込みやすくする、うなずくようにして嚥下する、少量で一口ずつ飲み込む、姿勢を良くする、などがあります。さらに現在誤嚥がない方も、予防の意味で、運動で体力をつける、のどの筋肉を鍛える、発声練習・カラオケで呼吸の筋肉を鍛える、などを実践されることが良いでしょう。皆様の健康と摂食嚥下機能が維持されることを願います。


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