緑内障(りょくないしょう)は、眼圧が原因で視神経と視野に異常をおこす病気です。多くの場合が進行性で、放置すると失明する場合があります。40歳以上の日本人の約5%(20人に1人)が緑内障であると予測されています。
緑内障は、眼圧上昇の原因により、大きく分けて、Ⅰ.他の病気が原因で眼圧上昇したのではない、「原発(げんぱつ)緑内障」、Ⅱ.他の目の病気や身体の病気、あるいは薬物が原因となって眼圧が上昇する、「続発(ぞくはつ)緑内障」、Ⅲ.生まれつきの隅角異常や他の病気によって小児期に眼圧上昇が起こる、「小児緑内障」、の3種類に分類されています。
さらに、それぞれが隅角(ぐうかく)の広さによって「開放隅角」緑内障と「閉塞(へいそく)隅角」緑内障に細分されます。
原発緑内障は、隅角(ぐうかく)の広さによって、「開放隅角」緑内障と「閉塞隅角」緑内障に分けられます。
図3a 開放隅角
図3b 閉塞隅角
「続発」緑内障は、他の目の病気や全身の病気、あるいは薬の影響によって眼圧が上昇するものを言います。続発緑内障にも、隅角の形により、「開放」と「閉塞」があります。続発緑内障の治療は、まず原因となっている病気を治療するのが原則です。緑内障だけ治療しても効果がないことが多いからです。
1)続発開放隅角緑内障
糖尿病網膜症や網膜の血管が閉塞する病気では、末期になって隅角に異常な血管(新生血管)が生えることがあります。新生血管緑内障と呼ばれており、緑内障の中でも治療が困難な病態です。また、目の炎症(ぶどう膜炎など)や目の外傷・手術後に眼圧が上昇することがあります。炎症の治療(点眼薬や注射など)が重要です。薬の影響で眼圧が上昇するのは副腎皮質ステロイド薬によるものが有名です。特にまぶたや目の周囲にステロイド軟こうを用いる場合(アトピー性皮膚炎など)は、定期的に緑内障のチェックが必要です。
2)続発閉塞隅角緑内障
白内障が進行して膨隆した場合、水晶体が本来の位置よりずれている場合、虹彩と水晶体が癒着を起こしている場合、眼内の炎症が強い場合、虹彩が隅角を塞いでいる場合(ICE症候群など)、に起こります。治療法は多くの場合で原因を取り除く手術になります。
小児の緑内障で成人と大きく異なる点は、小児の眼球は柔らかいので眼圧が上昇すると眼球が大きくなることです。そのため、小児の緑内障では、眼圧が高い・視神経や視野に緑内障性異常があるといった緑内障特有の異常の他に、「角膜が大きい」・「近視が進行する」、といった特徴があります。また、ダウン症・代謝異常・母斑症・先天風疹症候群などの全身病に関連した緑内障があることも特徴の一つです。発症年齢は、出生前から思春期まで幅広いです。
他の緑内障と同じく、薬物で眼圧がコントロールできない場合は、手術療法が必要となります。小さなお子さんでは、眼圧測定も困難なことが多く、睡眠薬で睡眠中に検査を行ったり、全身麻酔をかけて検査・治療を行ったりすることもあります。