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けんこう家族 第126号【2】

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肺炎について

呼吸器内科医長 澁谷英樹

呼吸器内科医長
澁谷 英樹


はじめに

肺炎という病気は、どなたでもご存知の非常にありふれた病気です。しかし、平成27年の厚生労働省の統計によると、肺炎は、がん、心臓病に続いて日本人の死亡原因の第3位となっており、決して軽く見てはいけない病気です。今回は肺炎についてお話しさせていただきます。

肺炎とは?

肺炎とは、細菌やウイルスなどの病原体が肺に入って感染し、肺に炎症をおこす病気です。通常、人間の身体に備わっている免疫力が病原体をやっつけるのですが、病気にかかっていて体力が落ちているときや、高齢のため体力や免疫力が弱っているときなどに肺炎を起こしやすくなります。

肺炎の症状

1.高熱が続く 2.咳・痰が続く
3.胸が痛い、息苦しい 4.食欲不振 5.倦怠感
6.悪寒 7.頭痛 8.筋肉痛、関節痛   など。

このような症状が1週間以上続いた場合、肺炎が疑われます。高齢者の場合は熱が出ないこともあります。咳は激しいことが多く、病原体の種類によっては、黄色や緑色の痰を伴った湿った咳となり、あるいは痰を伴わない乾いた咳となることもあります。炎症が肺を包む胸膜に及ぶと、胸が痛くなり、胸水がたまり胸膜炎を合併することがあります。また、悪化すると血液中の酸素が不足してチアノーゼ(顔や唇が紫色になること)が現れ、呼吸数や脈が早くなることもあります。

肺炎の種類

感染する病原体や環境によって肺炎はいくつかの種類に分けられます(表1、2)。 その他の肺炎として、最近注目されているのが、高齢者に多く起こる誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎とは、細菌が唾液や胃液と共に肺に流れ込んで生じる肺炎のことをいいます。


表1 病原体による分類

肺炎を起こす主な病原体
細菌性肺炎 肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌などの細菌
非定型肺炎 マイコプラズマ、クラミドフィラなどの微生物
ウイルス性肺炎 インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘ウイルスなどのウイルス

表2 感染する環境による分類

特     徴
市中肺炎 日常生活を送っている人が病院、診療所の外で感染して発病する。風邪やインフルエンザをこじらせた時に多く起こる。
院内肺炎 何らかの病気のために病院に入院してから48時間以降に発病する。気管内挿管で人工呼吸器をつけていたり、抵抗力が弱くなっていたりするときに発病することが多い。

肺炎の検査

1.画像検査(図):レントゲン(X線)撮影やCT検査。
2.血液検査:血液中の白血球数、 CRPなどの炎症マーカーの測定。
3.喀痰検査:肺炎をおこしている原因の病原体を痰から分離・培養し、原因を確定する検査。
4.迅速検査:鼻腔や喉の奥をぬぐってインフルエンザウイルス、マイコプラズマなどに感染しているかを確認する検査。あるいは、採尿をして肺炎球菌やレジオネラによる感染かを調べる検査。

図)マイコプラズマ肺炎のレントゲン(左)及びCT(右)写真(自験例より)

肺炎の治療

重症度に応じて、抗菌薬による薬物治療を中心とした治療を行います。以前は入院して注射薬で治療をしていましたが、最近では優れた経口抗菌薬が使われるようになってきており、重症でない場合には飲み薬を中心とした治療が行われるようになりました。対症療法として、症状に応じて鎮咳薬、解熱薬、去痰薬、気管支拡張薬などがあります。

肺炎を予防するには

1.予防接種を行う。
インフルエンザの予防は肺炎の予防にも有効です。インフルエンザの予防接種を受けると良いでしょう。さらに65歳以上の方・持病のある方は、肺炎球菌ワクチンを接種することで、市中肺炎の約30%に関与し、重症肺炎や敗血症を引き起こすこともある肺炎球菌肺炎のリスクを減らし、重症化を防ぐことが期待されています。
2.バランスのとれた食生活を心がける。
栄養が不足すると体力が落ち、肺炎をはじめとする感染症にかかりやすくなります。普段から栄養バランスがとれた食事をすることを意識しましょう。
3.タバコを吸わない。
タバコを吸うことで気道の線毛細胞が慢性的に痛めつけられ、機能が弱まります。すると肺炎の原因になる病原体が気道の奥まで侵入し、肺炎を起こしやすくなってしまいます。
4.口腔ケアを行う。
口腔ケアを毎日行うことで、口の中の細菌の数を減らし、誤嚥性肺炎のリスクを減らすことを目指します。

おわりに

以上肺炎についてお話しました。主な症状は、発熱、咳、胸の苦しさですが、症状が1週間以上続くときや悪化しているときは呼吸器内科を受診するようにしてください。


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