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けんこう家族 第127号【2】

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原発性肺癌について

呼吸器外科部長 中原 和樹

呼吸器外科部長
中原 和樹

肺癌とはどんな病気?

肺がんとは、肺の構造物である気管支、肺胞などの細胞が癌化したものです。年々増加傾向にあり、今では癌による死亡者数では男性では第1位、女性では大腸癌に次いで2番目となっています。肺がんには細胞の形態によっていくつかの種類に分類されます。まずは、小細胞肺がんと非小細胞肺がんに分類され、さらに非小細胞肺がんは腺癌、扁平上皮癌などに分類されます。

症状、発見動機

肺癌は、初期には症状がほとんどありません。進行してくると、様々な呼吸器症状(咳・血痰・息切れ・喘鳴など)や胸痛などが起こることがありますが、肺癌特有の症状はありません。また、肺がんが進行しても症状が出ない場合もあり、転移巣(骨や脳)などの症状で発見される場合もあります。そのため、早期発見には検診での胸部レントゲンや、人間ドックなどでの胸部CTが必要となってきます。一般的に肺癌の25%くらいは通常の胸部レントゲンではわからず、CTで初めて発見されています。

治療

非小細胞肺がんは、病気の進行度(病期)に応じてそれぞれ中心となる治療法があります。肺癌が原発巣や近くのリンパ節までにとどまっている場合(I期~IIIA期)は、手術で切除します。癌が他臓器や遠くのリンパ節にまで進展している場合は手術ではなく抗癌剤の治療が中心となり、場合によっては放射線を併用することもあります。小細胞肺癌は進行の早い種類で、一般的にはI期まで(病巣が原発巣のみでリンパ節転移のない段階)であれば手術を行いますが、それより進行した場合は抗癌剤での治療が中心となり、時に放射線治療を併用します。

1.手術療法
肺癌の標準的な手術は病気のできている肺の肺葉(右は上葉・中葉・下葉、左は上葉・下葉の計5つの肺葉に分かれています)を切除し、周囲のリンパ節の一部を摘出します。また、最近では病変の悪性度や大きさなどにより、区域切除や部分切除といった縮小手術も行われるようになってきました。方法としては、胸腔鏡手術と開胸手術に分けられ、胸腔鏡手術も完全胸腔鏡下手術と胸腔鏡補助手術に分けられます。当院では、より体にやさしい完全胸腔鏡下手術を行っています。
2.抗がん剤治療
最近では抗がん剤治療も発達してきて、今までの殺細胞性抗がん剤以外に、分子標的薬という、がん細胞を増殖させている因子の働きを抑える薬剤が開発されてきました。分子標的薬は癌の遺伝子を調べることで、効果がある程度予測でき、今ではEGFR、ALK、ROS1という3種類の物質を調べて、それぞれに対する薬剤の効果が期待できるかを判定することができます。分子標的薬が効かないタイプや、耐性のできたものに対しては従来の抗がん剤を使用します。
3.免疫療法
最近になり、健康保険で認められた免疫療法が登場しました。これは、癌細胞の遺伝子検査を行いPDL1という物質が存在するかどうか、また存在するのであればどのくらい存在するかで、効果が期待できるかどうかが予測できます。
これ以外の民間療法的な免疫療法は、世界的に治療として認められていないので注意が必要です。
4.放射線療法
放射線療法も進化しており、最近では小さな肺癌で手術のできない症例に対して一定の効果が得られています。また、定位照射という方法は病巣の位置と大きさをCTで解析して、ピンポイントで病巣に放射線を照射する方法で、以前の方法に比べて副作用が少なく照射回数も少なくなっています。当院に本年度導入された新たな放射線照射装置で行うことが可能です。

*肺癌などの疾患の詳しい解説は「病気&診療完全解説BOOK」医学通信社BOOKSに書かれていますのでご参照いただければと思います。

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