本年4月1日をもちまして、整形外科部長に昇任いたしました平岡です。今後とも皆様のお役に立てる様がんばってまいります。よろしくお願いいたします。
ここ、東京逓信病院整形外科は、現在では関節治療の大きな柱となっている関節鏡手術発祥の地です。1959年に故渡辺正毅先生(当時整形外科部長)が渡辺式21号関節鏡を開発(Fig)、世界に先駆けて臨床に実用化し、その後世界に広がりました。その歴史ある東京逓信病院整形外科では、現在でも関節鏡手術を得意とし、高度な技術を駆使して治療を行っています。
前十字靱帯は膝関節の中心に位置し、膝の運動において極めて重要な役割を担っています。スポーツ中に損傷することが多く、スポーツ外傷の中でもその頻度は極めて高いものです。この怪我には関節鏡を用いた靱帯再建手術が治療の第1選択です。関節鏡視下に膝屈筋腱や膝蓋腱を用いて解剖学的位置に正確に靱帯を再建することで手術後6~8か月でスポーツ復帰が可能になります。同様に、膝後十字靱帯損傷の治療も関節鏡を用いて解剖学的再建を行っています。
膝関節内でクッションの役目を果たしているのが半月板です。スポーツ外傷、先天的異形、年齢変化などで損傷されることがあります。膝周囲筋力強化訓練(東京逓信病院整形外科のホームページにそのやり方を掲載しています)が第1選択ですが、筋力強化励行でも症状が改善しない場合には関節鏡視下縫合術を行います。骨切り術(病院ホームページの整形外科のページをご参照ください)を併せて行うこともあります。スポーツ復帰が可能なまでの回復を目標としています。
関節内骨折、関節軟骨損傷、膝蓋骨脱臼、タナ障害、滑膜炎、良性腫瘍、遊離体の治療など、人工関節以外の膝関節治療はほとんどが関節鏡を使用して行われます。関節鏡視下手術は傷も小さく、リハビリも速く、患者さんにはメリットが極めて大きな治療法です。東京逓信病院整形外科は高い関節鏡技術を維持し、さらに研鑽を積み、患者さんには良好な治療結果を提供できているものと自負しています。また、当院では関節鏡手術ばかりでなく、人工関節手術も積極的に行っています。膝関節疾患でお困りの患者さんは是非東京逓信病院整形外科にご相談ください。
渡辺21号鏡(左上)と現在の関節鏡(右下)。21号鏡では電球(青矢印)を関節内に入れて光を供給し、スコープ越しに関節内を直接覗いていた。現在の関節鏡はスリムになり、外部の光源からファイバーケーブル(赤矢印)を介して光を関節内に導入し、画像はモニターに拡大して映し出される。