4月より皮膚科部長を務めている三井と申します。前任の江藤隆史先生の20年後輩で、専門も同じアトピー性皮膚炎と乾癬です。江藤先生と同様、皮膚疾患についてはオールラウンドに診察していますので、皮膚でお困りのことがありましたら何でもご相談ください。今回は乾癬についてお話ししたいと思います。
乾癬は炎症性角化症の代表的な病気です。症状の特徴として“炎症=皮膚の赤み”と“角化=かさかさ”があります。皮膚の入れ替わりは通常約45日なのですが、乾癬では4,5日と短縮します。皮膚症状だけでなく、関節痛、高血圧、心筋梗塞、うつ症状などを伴うことがある全身的な病気です。
原因はまだ完全には解明されていませんが、白血球のうちのTh17細胞(ヘルパーT細胞の一種)が重要であることが分かっています。治療も外用療法だけでなく、紫外線療法、内服療法、注射療法、顆粒球除去療法など多くの選択肢があります。
治療の選択肢が多くあると選択に迷うかもしれませんが、当科では効果、副作用、費用などをお話して患者さんと一緒に決定していきます。図のような治療の枠組みを示す“ピラミッド計画”を使うことがありますが、これは下から順番に選ばなくてはいけないというものではありません。下の方が治療対象の幅が広い、ということを示しています。
乾癬治療のピラミッド計画
参照: 飯塚 一:Visual Dermatology 16:850-851,
2017より一部改変
当科の大きな特徴として、紫外線装置が充実していることが挙げられます。ピラミッドの図でも紫外線療法は2番目に適応の広い治療です。紫外線装置はNBUVBという皮膚疾患に有効な波長だけを出すもので、副作用をなるべく少なくしており、日焼けサロンの装置とは異なります。皮膚症状の大きさ、部位に応じて色々な装置を使い分けていきます。全身、下肢のみ、スポットのみと皮疹のタイプに応じて全身型、半身型、エキシマライトと使い分けています。
注射製剤は、乾癬の病態をピンポイントで抑制するもの(生物学的製剤)で、効果が高く副作用が少ないのが特徴です。現在8種類ほど発売されていますが、日本皮膚科学会で指定された病院でしか投与することができません。当科では全て対応可能です。各製剤の特徴がありますので、個々の患者さんに合わせて一緒に決定していきます。高価な製剤ですが、加入している保険と収入によっては国から補助金が出ます。まずは受診して頂き、気軽に相談してください。
当科の紫外線装置
奥:右から全身型、全身型、半身型
手前:エキシマライト