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けんこう家族 第136号【3】

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巻きづめの治療

岩井 奈都子

形成外科 医長
岩井 奈都子


爪に何らかの悩みを抱えている方は実は非常に多く、中でも当科を受診される方で最もよくみられるのが「巻き爪(まきづめ)」です。「巻き爪」は「陥入爪(かんにゅうそう)」と「弯曲爪(わんきょくそう)」とに分けられます。陥入爪は、爪の端のみが曲がって食い込んでいる状態、弯曲爪は爪全体が丸まっている状態をいいます。前者の方が頻度としては多くみられます。

陥入爪(かんにゅうそう)とは、

足の指にある爪の両端の先がとげのように周りの皮膚に食い込み、その食い込んだ部分の皮膚に炎症を起こして激しい痛みを伴うようになる疾患です。原因として最多なのは、不適切な爪切り(深爪、爪の両端の切り残しなど)です。その他、指への過剰な負荷(足に合わない靴や歩き方の癖、外反母趾、特定のスポーツ、肥満、爪水虫など)も原因となります。

本来、爪には丸まろうとする性質があり、深爪で爪の両端を指先より短く切りすぎてしまうと、周りの皮膚の下で爪がどんどん丸まり、ますます食い込みが助長されるという悪循環に陥ります。

陥入爪が重症化すると、爪のとげが食い込んだ部分に肉芽腫(傷口にできるじくじくした赤い盛り上がり)を生じることもあります。ここまでくると、痛みにより歩行が困難となり、さらに長く放置すると爪が食い込んだ部分に細菌感染を生じ、骨髄炎(骨まで炎症が及ぶこと)を伴って骨が破壊されることもあります。

また、強い痛みから足をかばう歩き方となるために、足首や膝・腰に負担がかかり捻挫や膝・腰の痛みの原因となることもあります。高齢者では転倒につながる危険もあります。

陥入爪の治療

陥入爪術前・術後

治療法には大きく分けて、保存療法(手術以外の方法)と手術療法とがあります。

保存療法は多種類開発されていますが、いずれも軽症例以外には効果不十分であることが多く、長期にわたる継続治療が必要で再発率も手術に比べ高いことが多いです。また保険が適応されないため治療費がかさむという欠点もあります。

このため当科では、中等度以上の症例、痛みの強い症例、再発例には原則手術療法をおすすめしています。術式は古くより数多くの報告がありますが、時代とともにより低侵襲で、より早い社会復帰を目指せる方法が主流となってきています。

当科では、ブロック麻酔(指全体の痛みをとる部分麻酔)をした上で、痛みのもととなる部分の爪のみを最小限に切除したのち、爪の生えるもととなる爪母を丁寧に除去します。

術後の出血や疼痛・爪の変形を最小限にするための工夫も行っています。必要に応じ、フェノール法(タンパク腐食作用を用いて爪のもとが生えてこないようにする方法)を併用する場合もあります。

弯曲爪の治療

弯曲爪(わんきょくそう)とは

上記の陥入爪とは逆に、足の指に適正な過重がかからないことで生じることが多いとされます。変形性膝関節症や変形性腰椎症などを患う中高年の女性に多く、車椅子の患者さんや寝たきりの高齢者に生じることもあります。そのほか、先の細いヒール靴の長年頻用や、べた足歩行、薬剤性、爪母下腫瘤(爪下外骨腫、グロムス腫瘍、ヘバーデン結節)などが原因で生じることもあります。

弯曲爪の治療

矯正ワイヤーや形状記憶クリッピングなど様々な矯正器具が開発されていますが、中等度以上の症例や、厚く硬い爪の方には手術療法が、効果がより確実で治療期間が短くて済む場合が多いです。

手術では、爪の下の丸まった爪床を平らに修正したのち、さらにその深部の骨まで丸まっている場合には骨も平らに直します。その上で、挙上した爪床皮弁を戻して縫合します。手術をするといったん元の爪はなくなりますが、術後は平らに修正された爪が再生してきます。

爪の変形や痛みで何らかのお悩みがある方は、お気軽に形成外科外来でご相談ください。

弯曲爪の治療

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