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けんこう家族 第138号【2】

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貧血ってなに?

水地 大輔

血液内科 主任医長
水地 大輔


皆さんは体調がすぐれない時に「貧血」を意識したことはありますか?「立ち眩みがひどいな。貧血かな?」「最近階段を昇るとやたら息が切れる。貧血かも。」「だるいし気力も出ない。きっと貧血に違いない。」ここで今こそすべての日本国民に問います。貧血ってなに?

貧血とは、血液中の赤血球成分が不足している状態をいいます。「赤血球(RBC)」や赤血球に含まれる「ヘモグロビン(血色素、Hb)」などをみて貧血かどうか判断しますが、特に大事なのは「ヘモグロビン」です。ヘモグロビンは鉄を含む赤い色素「ヘム」とたんぱく質の「グロビン」からできています。「ヘム」は酸素との結びつきが強く、全身に酸素を運ぶ重要な働きをしています。そのためヘモグロビンが減ると体の酸素も減ってしまい、普段何の苦労もない坂道や階段でも酸欠となって息が切れてしまうのです。また足りない酸素を一生懸命全身に回そうとして心臓ががんばるため、脈が速くなります(逆にヘモグロビンが下がっていなければ、その症状には他に原因があるということになります)。

今日採血をされた方は、採血結果を見てみましょう。ヘモグロビンはいくつでしたか?当院では、成人女性は11.3-15.3 g/dL、成人男性は13.1-16.9 g/dLが基準値となっています。この下限値を下回ると貧血です。いつもは貧血でない方が10.0 g/dL以下になると、息切れや動悸、立ち眩みを自覚するようになります。ただし貧血がゆっくり進むと体がそれに慣れてしまうため、自覚症状の出ないこともあります。しかし自覚症状がないからといって放っておいてはいけません。貧血を引き起こす病気が隠れている可能性が高いからです。

次に「平均赤血球容積(MCV):赤血球の大きさ」を見てみてください。血液内科医はここを見てどんな貧血なのかを考えます。

MCVが80fL未満→小球性貧血

最も頻度が高いのは鉄欠乏性貧血です。月経過多に代表される、出血によって生じる貧血です。鉄やフェリチン(貯蔵鉄=鉄の蓄え)を測ることで当日診断できます。消化管出血が潜んでいることもあるので、内視鏡などの検査が必要となることがあります。

MCVが80-100fL→正球性貧血

ここには様々な貧血の可能性があります。長く腎臓を患っている方では腎性貧血、血液の病気では再生不良性貧血や多発性骨髄腫、白血病が隠れていることもあります。

MCVが100fL超→大球性貧血

赤血球が寿命より早く壊れてしまう溶血性貧血や、血を造る(造血)のに必要なビタミンB12や葉酸の不足でおきるビタミンB12欠乏性貧血や葉酸欠乏性貧血、造血の場である骨髄に異常がおきる骨髄異形成症候群などがここに当てはまります。

このように、貧血の背後には様々な病気が隠れていて、さらに詳しい検査を必要とします(貧血の原因によって必要な検査は異なります)。健康診断等で「貧血」と言われたら、まずは血液内科を受診してみましょう。当院では月火木金曜の午後、水曜の午前に専門外来を開設しています。お気軽にご相談ください!

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