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けんこう家族 第141号【5】

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ネコ先生の『神楽坂通信』Vol.10

光井 洋

院長補佐兼
消化器内科 部長
光井 洋


皆様お元気ですか。新型コロナウイルス感染はまだ収まっていませんが、ワクチン接種が進めば状況は良くなるでしょうから、今少し生活上の我慢を続ける時ではないかと思います。

さて今回は「依存症」についてのお話です。依存症というと、麻薬中毒で人格が崩壊したような人のイメージが浮かぶかもしれません。しかし、これは誰でもちょっとしたことでおちいる可能性のある身近な問題なのです。

依存症とは本来、物質を長期に摂取することで、心や体、そして社会生活に問題が起きているにもかかわらず、摂取がやめられなくなっている状態のことです。ここでいう物質としては、たばこやアルコール、それに違法薬物などがあげられます。この物質依存症に加えて、最近では行動の問題として、ギャンブルやオンラインゲームの依存症が新たに病気として知られるようになりました。

消化器内科の分野で最も多いものはアルコール依存症です。飲酒過多による体への害として、代表的なものには肝障害、膵炎、食道がんなどがあります。これらの病気が悪くなることが頭ではわかっていても、お酒をスパッと止められる方はかなり少数です。

では、なぜ人は依存症になるのでしょうか。例えば、心に不安や孤独感があるとします。これをまぎらわせるために、飲酒の刺激がなされると、脳の中の報酬系と呼ばれる神経の道筋でドパミンという物質が分泌され、気持ちよさを感じます。この報酬系の興奮状態が続くと、快感を得るために必要な刺激の量がだんだん増えてくるようになります(耐性)。さらに、お酒を飲まないと手が震える・イライラするといった禁断症状が起き、これらは体の依存の状態を表しています。また、心の依存は、お酒をどうしても飲みたくて我慢できないという強い欲求(渇望)です。こういった依存症の状態では、頭の中の神経系が飲酒刺激によってもたらされる快感に支配されていて、そこから抜け出すのが難しくなっているのです。

それでは、依存症の治療はどうすればいいのでしょうか。「お酒をやめなさい!」と叱ったり、違法薬物の使用に対する罰則を強化したりするだけでは効果はあがらないことが示されています。まず本人が依存症から抜け出そうという意志が重要です。その上で、薬物療法としてはお酒の効果を減らす薬が使えるようになりました。また、飲酒や薬物摂取には「引き金」があり、仲間からの誘いや暗い気持ちがこれに当たります。これらの引き金に対するうまい対処法を学ぶということが大事で、これは「認知行動療法」と呼ばれます。例えば、飲酒したいと思ったら運動をするなどの代わりの行動パターンを決めておくやり方です。さらに、同じような依存症の人が集まって体験を共有する「自助会」も大いに助けになります。

ネコ先生

自分は大丈夫と思っていてもリスクがあるのが依存症です。私もオンラインゲームをすることはありますが、目が疲れたり睡眠不足になったりしないよう、やり過ぎには注意しています。皆様にもお好きな物や趣味がおありでしょうが、くれぐれもお体には注意してお過ごしください。



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