




足関節の捻挫は最もよく見られるケガです。ほとんどは外くるぶし周辺での靱帯損傷(前距腓靭帯・踵腓靱帯)です(図3-2-1)。
靱帯損傷は通常3段階に分類されます。軽度のものは靱帯が延びずに治癒します(1度)。しかし、中等度(2度)以上のものは靱帯が伸び、関節が緩くなり再発しやすくなります。再発を繰り返すと、関節の不安定性や関節可動域(特に背屈)が制限され、運動時のバランス調整や姿勢保持に影響するようになります(図3-2-2)。私が自ら指揮した高校生バスケットボールの全国大会での大規模調査によって、このことは統計学的に確認されました。さらに進行した症例では、離断性骨軟骨炎を続発することもあります。
足首の捻挫は頻度が多いことや、損傷しても比較的短い期間でスポーツ復帰できることもあり、軽視されていることが多いですが、中等度以上、特に完全断裂とされる3度損傷では、初回にしっかり治すことがとても重要です。治療は保存療法が中心ですが、治療期間を短縮して早期にリハビリを開始する目的で手術療法を選択する場合もあります。

図3-2-1 足関節外側の靱帯
(Golano P,et al.Anatomy of the ankle ligaments:a pictorial essay.KSSTA23,557-569.2010.)

図3-2-2 捻挫と再発・足関節の背屈制限とバランス能力の関係
アキレス腱は人体で最大の腱(筋肉と骨をつなぐ繊維の束)です。大きな負担がかかることで断裂します。
中高年に多い印象がありますが、スポーツ選手でも多く発生し、年齢幅は若年者から高齢者まで幅広く発生しています。
診断は容易ですが、治療法は病院により大きく異なります。
治療は、手術をしない方法(保存療法)と手術療法に大別されます。どちらもよく治りますが、早期にリハビリテーションが行えるような治療でなければ保存療法はお勧めできません。当院では、より確実に早い段階でリハビリテーションを開始できる手術療法をお勧めしています。
手術・リハビリテーションは私が以前に勤務した関東労災スポーツ整形外科での方法(内山式)を踏襲しており、元々のアキレス腱の長さを保つように繊維を丁寧に修復し、しっかりと縫合します。
手術後は4-5日目からギプスでの荷重歩行(体重をかけた歩行)を始めます。以降荷重制限はありませんので、慣れれば杖なしで歩くことができます。
手術の傷が安定する術後2週目でギプスを取り外し、専用の装具を装着して可動域訓練(足首を動かす訓練)を開始します。この時点で入浴が可能になります。
その後は動きの改善の程度に伴い筋力訓練が始まります。手術後1か月半から2か月で背のび(つま先立ち)の訓練が始まり、3か月までにジョギング開始、徐々に縄跳び、軽い運動、元々のスポーツ活動に復帰していきます。最短で5か月程度のプログラムを作成していますが、患者さんの進行度合いを見ながら適宜修正します。(図3-3-1)

図3-3-1 アキレス腱断裂のリハビリテーション
(関東労災病院のホームページより抜粋:https://kantoh.johas.go.jp/column/20210419_4.html.2025/11/4閲覧)
疲労骨折とは、正常の骨に過剰な負担がかかって徐々に発生する骨の障害です。多くは運動を休止すれば治癒しますが、スポーツ活動の中で発生することが多いので、治癒期間を短縮させるために手術療法が必要となることがあります。
昔は応援団の太鼓叩きによる尺骨(腕の骨)、ウサギ跳びによる腓骨(ふくらはぎの外側)、軍隊の中足骨(足の甲)の疲労骨折が有名でした。実はほかにも肋骨、肘、骨盤、大腿骨・脛骨・腓骨など、疲労骨折は全身に起こります。これら多くは的確に診断し、運動制限をすることで自然に治癒します。
一方、サッカーやバスケットボールなどで発生する第5中足骨疲労骨折(ジョーンズ骨折、図3-4-1)、陸上選手に多い足舟状骨疲労骨折(図3-4-2)、跳躍系の協議に多いスネの脛骨疲労骨折などは、保存療法では治癒までに長い時間がかかることがあり、競技活動を継続するために手術の適応になることがあります。
負荷に対する強度を増すために、スクリュー固定や髄内釘固定を行います。確実性を上げるために骨移植を併用することもあります。
女性アスリートでは、稀に月経障害などによる骨の代謝が要因の一つとなって疲労骨折が発生する場合もあります。様々な状況を総合して多方面から治療を行います。

図3-4-1 第5中足骨疲労骨折
(ジョーンズ骨折:サッカーやバスケットボールなどの選手に多い。右は手術後のレントゲン写真)

図3-4-2 足舟状骨疲労骨折 術後
骨が成長する段階では、様々な骨障害が発生します。
肩はリトルリーガーズショルダー、肘では野球肘、膝ではオスグッド病、足ではシーバー病が代表的ですが、他にも多くの骨障害(正確には骨端障害、骨端線障害)が生じます。離断性骨軟骨炎もこの範疇に入ります。また、その結果として成長完了後にも障害が残る場合があります。治療は負担を少なくするようなサポーターや装具などを使用し、運動量の調整が必要になる場合が多いですが、リトルリーガーズショルダーや外側型の野球肘のように厳格な運動制限が必要になる場合もあります。自己判断をせずに専門家に相談することをお勧めします。
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