ここがページの先頭です。
ページ内移動メニュー
ヘッダーメニューへ移動します
共通メニューへ移動します
現在の場所へ移動します
本文へ移動します
サイドメニューへ移動します
現在の場所
ホーム  健康情報  病院だより「けんこう家族」  けんこう家族 第116号
ここから本文です。

けんこう家族 第116号

第116号 平成27年4月1日発行

PDF版はこちら (2.91MB)

目次 |

目次

スギ花粉症に対する舌下免疫療法について

耳鼻咽喉科 部長 八木 昌人

耳鼻咽喉科 部長
八木 昌人

スギ花粉症の方にとっては、うっとおしい季節がやってきました。かく云う私もその一人です。とくに、今年は昨年に比べスギ花粉の飛散量の増加が予想されており頭の痛いところです。

スギ花粉症に対しては様々な治療法がありますが、現在一般的に行われている薬による治療は、抗アレルギー剤と言ってアレルギによって生じたヒスタミンなどの化学物質をブロックするもので、アレルギーそのものを抑えるものではありません。スギ花粉症の理想的な治療法は、スギ花粉に対してアレルギーをおこさせないようにすることです。減感作療法とよばれるこの治療は、従来はスギ花粉エキスを低い濃度から次第に高い濃度へと長期間にわたって皮下注射していくことによっておこなわれてきました。

しかし、長期間にわたる注射や、アレルギーを起こさせる物質を注射で体内にいれることによる危険性などが普及を阻んできました。そこで、もう少し簡便な方法として開発されたのが、舌下免疫療法です。これはスギ花粉エキスを舌下投与していくことにより、減感作を図ろうというものです。

具体的にはスギ花粉エキスを舌の下に垂らして2分間保持した後飲み込みます。2週間で次第に濃度を上げていき3週間目に維持量に達し、その後は2~3年間継続します。この治療は内服薬のため全身的な合併症の危険性が低く、また自宅での治療が可能となったことから注目を集めていますが、この治療のためにいくつかの注意点があります。

まず、血液検査でスギ花粉アレルギーが確認されていること、12歳以上で花粉の非飛散期を含め2~3年毎日内服が可能なこと、重症の喘息の合併がないことです。また、ステロイド、抗癌剤、β遮断薬を使用している方も治療できないため、継続している薬があれば確認しておく必要があります。

治療の開始時期がスギ花粉の非飛散期と決められているため、来シーズンにむけては7月から治療が可能となります。そして、11月までに開始できれば来シーズンの効果が期待できます。また、妊娠中の方は治療を開始できませんが、治療中に妊娠した場合は継続可能です。

スギ花粉症に対する舌下免疫療法は約80%に症状の軽減が認められています。ただ、スギ花粉の非飛散期を含め2~3年毎日内服が必要であること、またこの効果は残念ながら永続的ではないこと、そして、なによりnon- responderとよばれる治療効果の低い方が約20%いることなどから、治療開始にあたっては今まで述べたことを十分理解していただくことが必要です。

なお、この治療の安全性は高いですが、ごく少数ですが全身的な合併症がみられることから、舌下免疫療法に関する講習会とe-learningを受講した医師のみが処方可能となっており、最初の服用の際は医師が立会、最低30分の経過観察が義務付けられています。この治療を希望される患者さんがいらっしゃれば、当科で対応いたしますので、お気軽にご相談ください。

目次 |

ここまで本文です。
ここからサイドメニューです。 ここまでサイドメニューです。
^このページの一番上へ
【画像】印刷用のフッター画像です