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けんこう家族 第117号【3】

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大腸癌の内視鏡治療

消化器科医長 大久保 政雄

消化器科医長
大久保 政雄

近年、食事の西欧化や生活習慣の変化に伴い、大腸の病気が増加しています。なかでも大腸癌の増加は著しく、早期の発見が大切です。今回は大腸検査の必要性、そしてその検査で早期発見できた大腸癌は、大腸内視鏡で腹部にメスをいれずに切除出来るようになったのでそのことについてお話したいと思います。

大腸内視鏡を行う目的は、病気診断と大腸腫瘍(ほとんどは良性のポリープ)切除です。しかし、2Lもの下剤を服用し、便をなくした状態で検査を行いますので身体的負担は少なくありません。ですから、まず便検査を施行し、鮮血反応が陽性となれば大腸検査をするという流れになります。

検査で大腸に腫瘍があった場合、大多数はポリープ(主に腺腫:前癌病変ですが、必ずしもそれが癌になるというわけではありません。)であり、ポリープを切除すれば癌を予防できるという点から、検査時に癌化する可能性のある小さなポリープは外来検査時に切除しています。大きい病変は、切除後に出血する可能性が高く入院で治療します。内視鏡で切除できる病変は、基本一括で切除できることが原則で、従来、20mm以下の早期大腸癌や大腸ポリープの治療は、内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)や粘膜切除術(EMR)が行われてきました。早期大腸癌も、一部分割してでもEMRで切除してきましたが、分割して切除する場合は、切除した部分にわずかに癌細胞が残存する可能性があり、再発しやすいことや、遠隔転移が一部あることも事実でした。そのため、早期大腸癌で20mmを超える大きなものや、良性腫瘍でも内視鏡治療が困難なものは、腹腔鏡下の補助手術や開腹手術が行われてきました。

しかし、近年の医療技術の進歩より、このような病変でも外科的手術をせずESDという方法で内視鏡的治療が出来るようになってきました。ESDは、高周波メスで直接病変の周囲切開を行い、病変下の粘膜下層を視認しながら剝離していく手技で、腫瘍径に関わらず病変を一括で切除することが可能です。そのため、詳細な病理診断が可能で、根治性が高く、もし追加治療が必要な病変であったとしても、その後の明瞭な治療方針を提示できる優れた手技です。また、腸を切除しないので、外科手術と比べ術後の負担の軽減につながります。術後、翌日までは絶食し点滴で経過をみます。術後合併症がなければ術後3日目から食事が摂取でき約1週間で退院となります。大腸ESDは、大腸壁が薄いため、胃や食道に比べ合併症がおきやすく高度な技術を要するため、平成24年3月まで厚生労働省から技術と設備が十分と認められた施設のみ施行できる先進医療として治療が認められてきました。そして平成24年4月から厚生労働省の施設基準を満たした場合、保険診療として行えるようになりました。当院も平成24年からこの治療を開始しました。大きな大腸ポリープ、早期大腸癌の治療選択肢を増やすことで、我々も患者様の負担軽減につとめて参ります。しかし、一番大切なのは早期発見ですので、まず便の検査から施行して早期発見に取り組みましょう。

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