当院の感染管理体制として、感染予防委員会と、その下部組織として感染対策チーム(以下「ICT」)、また現場の各部門や各部署で感染対策を推進する役割を担うリンク委員会があります。
感染対策活動の中心であるICTは、5年前に感染制御の資格を持つ医師、看護師、臨床検査技師と薬剤師などの他職種で構成し、感染小委員会から名称を変更いたしました。
当院が力を入れて取り組んでいる感染対策のひとつに、毎週行っているICTラウンドと年2回の手洗い調査があります。
ICTラウンドは、病棟と病棟以外の場所(中央手術室、外来、救急診療室、内視鏡センター、透析室、臨床検査科、薬剤室、放射線科など)を毎週交互に、ICTとリンク委員から混成した2チームでまわります。
ラウンドは、東京都の立入調査や医療評価機構などの評価項目を参考に作成したチェックリストに基づき、現場職員へインタビューを行うと共に、現状の感染対策の確認をしています。時には、点滴や尿道カテーテルを留置している患者さまの病室を訪問させていただき、適切な管
理をしているか直接確認をさせていただいております。
気づいた点は、その場で状況に応じた対策を職員へ指導します。ラウンドの評価は、委員会や会議などで報告を行い、情報の共有、評価も行っています。
手洗い調査は、リンク委員が中心となり、確認をしています。蛍光剤を使用して手を洗い、洗い残し部位を知ることで、適切な手洗いを身につけるように働きかけております。
ICTメンバーの医師や看護師は、職員への教育活動や感染関連情報の発信、感染対策に関する相談、その他、薬剤師は一部の抗菌薬の届出制の管理や、これらの薬剤の長期使用例への注意喚起、病院全体での抗菌薬使用量の把握をしています。細菌検査室も充実し、多剤耐性菌検出時には、ICTメンバーや主治医へ連絡、耐性菌監視と薬剤感受性の動向の把握などといったメンバーそれぞれの職種を活かした活動も積極的に行っています。
今年度より、診療報酬改定に伴い感染防止加算1を取得し、同加算を取っている病院を訪問して感染対策の評価を相互に行いました。また、地
域連携として、加算防止2を習得している病院と合同カンファレンスを行い、地域ぐるみで感染対策に取り組んでおります。