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けんこう家族 第154号【4】

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ネコ先生の『神楽坂通信』Vol.22

院長補佐兼消化器内科 部長
光井 洋


皆さまこんにちは。お元気ですか。今回は黄疸についてお話しします。

黄疸というのは、ビリルビンという胆汁の色素成分によって体が黄色くなることです。黄色くなる場所は、皮膚や白目です。鏡を見て自分の目が黄色いことに気づいたり、家族や仕事仲間に指摘されたりしてわかります。また、尿が濃いコーラ色になりますし、便は逆に薄い灰色になります。

黄疸はなぜ起きるのでしょうか。肝臓の細胞は脂肪の消化を助ける胆汁を常に作っていて、胆管を通してそれを十二指腸に流しています。便が黄色いのはこの胆汁の色素であるビリルビンが食べ物に混じっていくからです。この胆汁が、肝臓から胆管を通して腸に流れなくなった結果、黄疸が起きます。ビリルビンが血液に逆流し、体中を流れて組織に沈着して黄色くなるのです。

では、なぜ胆汁が腸に流れなくなるのでしょうか。原因は大きく分けて二つあります。

一つ目は流れる道:胆管、が塞がる場合。これを閉塞性黄疸と呼び、胆管内に石が詰まったり、胆管が腫瘍でつぶされたりすることで起こります。前者は総胆管結石、後者は膵臓がん、胆管がんなどで生じます。この場合、胆管はせき止められているので管がラッパのようにふくれます。

二つ目は肝臓が炎症で障害されていて胆汁を胆管内に送れない場合です。これは肝細胞性の黄疸であり、原因としてウイルス性急性肝炎やアルコール性肝硬変などがあげられます。胆汁が胆管に出ないので、管はふくれません。

いずれにせよ黄疸は体にとってとてもピンチな状態であり、入院での治療が必要になります。閉塞性の場合は、取り除ける石は内視鏡的に除去し、腫瘍の場合はとりあえずプラスチックの管を通してたまった胆汁を肝臓から外に出さなくてはなりません。体温の37度前後で液がたまって動かない状態は腸の細菌が増殖するのに最適な環境であり、胆管炎から敗血症、ショックに進む場合もあるからです。抗生物質の投与も必要になります。肝細胞性の場合は、安静とし点滴で水分や栄養を補います。このように黄疸の原因により、治療内容は大きく変わります。

ごく軽度の黄疸が健診で指摘されることもあります。血中ビリルビン値が2-3 mg/dl程度に上昇するもので、ジルベール症候群と呼ばれ、肝臓での代謝酵素が少し弱いことが原因です。ASTなどの肝臓の酵素は通常正常であり、病気とは考えません。人口の2-5%に認められます。

以上は消化器系の原因による黄疸ですが、血液疾患である溶血性貧血が原因になることもあります。赤血球が壊れてヘモグロビンが放出され、代謝されて過剰のビリルビンができると肝臓で処理しきれないからです。

なお黄疸と間違えるものに、みかんやにんじんの取り過ぎで、それらに含まれるカロテノイドの過剰により手のひらなどが黄色くなる柑皮症があります。血中ビリルビン値は正常で、摂取をやめると改善します。

黄疸は重大な病気の危険信号です。体調が悪い時は、鏡を見たら白目をチェックし、尿や便の色も確認するようにしてください。


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