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けんこう家族 第156号【6】

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ネコ先生の『神楽坂通信』Vol.24

院長補佐兼消化器内科 部長
光井 洋


皆様こんにちは。今回は薬についてのお話です。医学の進歩と製薬技術の発展により、多種多様な薬剤が実際の医療現場で使えるようになりました。今まで長く臨床に携わってきて、特に「効果が凄い」と実感した薬を紹介します。

まずは、私の専門である消化器疾患の中から、ウイルス性肝炎に対する薬です。一つはB型慢性肝炎ウイルス(HBV)に対する核酸アナログ。これはHBVの核酸の構造に似せて作られた薬剤で、内服すると肝細胞に到達し、ウイルスの増殖を抑えます。その結果、慢性肝炎が沈静化して、肝硬変や肝細胞がんへと進むことを妨げます。もう一つはC型肝炎ウイルス(HCV)の治療薬である直接作用型抗ウイルス剤(DAA)です。DAAは2~3か月間内服することでHCVを約90%の確率で完全に排除できる優れた薬剤です。副作用が少ないのも大きな利点で、これらの治療薬より、ウイルス性慢性肝炎のコントロールは劇的に良くなりました。

次に挙げたいのが、糖尿病や肥満症の治療に用いられるGIP/GLP-1受容体作動薬です。この薬は、膵臓のインスリン分泌を高め、脳に作用して食欲を抑え、脂肪の分解を良くすることで、血糖改善や体重減少を起こします。食事療法や運動療法で改善が難しい場合に使用できる注射薬で、これまで他の治療で効果が乏しかった患者さんでも目に見えて体重が減少する例があり、私自身もその効果に驚かされています。一方で、吐き気などの消化器症状や、まれに膵炎・胆管炎が副作用として報告されています。また、医療目的ではなく美容目的で若い女性が自費で使用しているケースもあり、注意喚起がなされています。

続いてバイオ医薬品の抗体製剤です。バイオ医薬品は、遺伝子組換えや細胞培養技術を用いて製造されたタンパク質を成分とする薬の総称で、酵素やホルモン、そして抗体製剤が含まれます。各種の抗体製剤は特定の分子に結合してその働きをブロックし、病気の活動性を抑える薬です。潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎などで症状が劇的に良くなる例があります。ただし、製造コストがかかるため薬価が高額になりやすい点が課題です。

最後に、同じくバイオ医薬品である免疫チェックポイント阻害剤(ICI)についてお話しします。免疫をつかさどるリンパ球には、過剰反応を防ぐためのブレーキ機能(免疫チェックポイント)が備わっています。しかし、がん細胞がこの仕組みを悪用し、免疫から逃れていることが判明しました(この発見はノーベル賞を受賞しています)。ICIはこのブレーキを解除し、免疫が本来の力を発揮してがん細胞を攻撃できるようにする薬です。単剤、または抗がん剤との併用で大きながん縮小効果を示す場合があります。一方で、副作用として甲状腺機能異常、糖尿病、腸炎などの免疫関連の合併症が起こり得ます。また、効果が得られる患者さんの割合が高くはないこと、すべてのがんに効くわけではないことが課題です。それでも、従来ほとんど効果がなかったがん免疫療法に新たな可能性を開いた点で、画期的な治療と言えるでしょう。

今後も新しい薬が続々と登場すると思います。それらが患者さんの経過をより良くし、健康な生活を支えられることを願っています。


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