食道癌(組織型が扁平上皮癌のもの)は、放射線治療が効きやすい癌のひとつです。そのため、放射線治療が選択される場合もありますが、局所治療となるため、放射線治療のみで食道癌を治すことは難しいとされています(局所コントロールの治療となります)。
そのため手術が癌の進行具合や併存症などで困難な場合の治療として、化学療法(抗癌剤治療こと)と放射線治療を組み合わせて治療を行うことがあります。
その他、症状緩和(疼痛コントロールや出血コントロール)のために放射線治療を行う場合があります。
わかりやすくいうと、抗癌剤治療のことです。近年では、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬なども登場しています。
大きく分けると使い方は4つあります。
手術の前に行う化学療法のことです。食道癌の場合、化学療法を先に行ってから手術を行うことが標準治療です。術前進行度がⅡまたはⅢの場合、手術前に5FU+COPDという点滴の抗癌剤を2回行った後に食道癌の手術を行います。
手術で切除を行えたものの術後の病理結果がそれなりに進行していた場合、術後に行う化学療法のことです。
手術では切除できないほど進行した食道癌や、手術で切除できたもののその後のフォロー中に再発してきた食道癌に対して行う化学療法のことです。化学療法のみを行うこともありますが、前述した放射線治療と組み合わせて行うことが一般的です。
併存症(持病のこと)や手術希望がない場合、化学療法を行うという選択肢はあります。この場合も、放射線と組み合わせて治療することが一般的です。
多数の化学療法剤が存在します。その中で組み合わせながら行っていくことになります。
化学療法剤の例:5FU、UFT、TS1、CDDP、PAC、オキザリプラチン、オプシーボ、その他にもまだまだあります。
放射線治療や化学療法、あるいは両者の組み合わせを行った場合でも合併症として副作用があります。骨髄抑制、食道亀裂、嘔気嘔吐、口内炎、下痢などの消化器症状、肝障害、腎障害などが代表的な副作用となります。
重篤な場合には生命に危険を及ぼすこともありますが、早めに合併症を発見し治療を行うことでほとんどの場合は安全に治療が可能です。
食道癌治療の場合、短期間での体への侵襲は手術が最も大きくなりますが、長期的・総合的に見ると主J津による切除と他の治療法の危険性はほぼ同等ともいわれています。
化学療法には副作用があります。副作用を理解しつつ、効果的に治療をしていくことが重要で、効果と副作用のバランスが大切だと思っています。
当院での化学療法も、ガイドラインや臨床試験に沿いつつもその結果だけにとらわれず、年齢・併存症・体力などを総合的に判断し、な岩塩培ってきた経験をもとに個々に適切に調整しながら行っていきます。
ガイドラインを越える治療(もちろん保険適用内ですが)をお勧めすることもあります。
治療方針で分からないことがあれば、担当医にお気軽におたずねくください。
放射線化学療法を行い治癒が得られた後の再発例や、放射線化学療法を受けたが癌が遺残している例 に対して食道癌の追加切除を行う手術のことをいいます。
放射線化学療法後は、照射部位に放射線の影響が強く残るため、通常の食道癌手術に比べ術後合併症の発生率がかなり高く、かなり危険度の高い手術になります。
Salvege手術を受ける場合には、その危険性を十分にご理解いただき、担当医とよく相談する必要があります。
癌そのものの治療は行わずに出てきた症状を抑えながら生活していく方法です。お薬や点滴、放射線、内視鏡手技、手術などによって症状を緩和していきます。もちろん受けたくない治療は受ける必要はありません。