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ホーム  診療科のご案内  耳鼻咽喉科  最近の難聴治療の傾向
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最近の難聴治療の傾向

 耳鳴のほとんどは原因不明ですが、耳鳴の発生源として、Ⅰ)末梢由来説(内耳)とⅡ)中枢由来説が唱えられてきました。以前は内耳の病気が耳鳴の原因ではないかと考えられていたため末梢由来説が有力でしたが、現在では中枢由来説の方が支持されています。その理由として、脳科学の研究により脳の可塑性変化が不適切な方向に向かうと、不快な耳鳴が生じるということが分かってきたためです。これだけ聞いてもなんだかよくわかりませんね。わかりやすくいうと、今までは不快に感じなかった音が、何らかの原因で脳が変化して不快に感じるようになってしまうということです。
 では、なぜそういうことがおこるのか?1つのモデルが慶応大学耳鼻咽喉科の小川教授から提示されています。それは聴覚視床皮質発火リズム変調と聴覚野-非聴覚野神経活動同期という2つの病態です。

1.聴覚視床皮質発火リズム変調

 人間は耳から伝わった音を大脳の側頭葉聴覚野という部分で知覚します。その側頭葉聴覚野には蝸牛と同様に周波数応答性の神経細胞が配列しています。そして、その神経細胞は周囲の神経細胞からの抑制を受けながら活動していると考えられています。これを側方抑制といいます。
 ところで、蝸牛で2000Hzの聴力障害が生じたとしましょう。すると2000Hzの音情報が聴覚野に伝わらなくなります。すると、聴覚野にある2000Hzの音を感じる細胞への入力がなくなります。そうなると周囲の神経細胞からの抑制も減少してしまって、2000Hzを感じる細胞が、本来蝸牛からの入力がないのに暴走してしまい、勝手に刺激状態になってしまって、本来聞こえていない音が聞こえる、すなわち耳鳴りが発生するというものです。ただこれだけでは、耳鳴りが不快になることの説明にはなりません。

2.聴覚野-非聴覚野神経活動同期

 聴覚野と非聴覚野が何らかの原因によって同期してしまうと、今度は耳鳴りが気になりだす、それが記憶に残り、いらいらや不安と結びつくと感じるという悪循環が形成されてしまいます。そしてこの悪循環が苦痛を真ん中に置いたトライアングルを形成してしまい、さらに脳を、耳鳴りを気にさせる方向へ変化させてしまうわけです。

3.耳鳴治療の基本的な考え方

 1、2で述べた耳鳴発症のメカニズムを考えると、耳鳴り治療の基本は以下のようになります。それは、いかに聴覚視床皮質発火リズム変調を抑えるか、ということです。これには音刺激(とくに聞こえのわるくなった周波数)を入れていくことしかありません。音響療法あるいはTRT(耳鳴再訓練療法)とよばれ、耳鳴の発生原因の理解とともに補聴器やサウンドジェネレータを用いて耳鳴りを気にならないようにさせていくわけです。そうすることにより聴覚野-非聴覚野神経活動同期も抑えられていきます。
 つまり、耳鳴のもとは前から存在していたものが、聴力の変化による脳の変化(可塑性)により苦痛として自覚されるようになったというふうに考えるわけです。そのため、耳鳴りを消失させようと考えるのではなく、音を入れて耳鳴りを自覚する前の脳の状態に少しでも近づけて、苦痛のトライアングルと同期させないようにするというものです。難聴ばかりでなく耳鳴治療としての補聴器の装用、これが今後の主要な流れになっていくと思われます。
 当科では、補聴器外来を開設しておりますので、難聴、耳鳴でお悩みの皆さま、補聴器を試してみましょう。

参考文献

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