声帯の筋肉や粘膜がやせて声帯の閉じが悪くなり、音声障害をきたす病態です。
加齢や体重減少などが原因となり、高齢化を背景に増加傾向にあります。加齢性変化は30歳代から出てきますので、実際には高齢者でなくとも(例えば50歳代でも)声帯萎縮になることがあります。
診断は症状の確認と、内視鏡による特徴的な所見の確認によって行われます。声帯筋がやせて声帯が外側にたわみ(弓状変化)、声帯突起という声帯後方の軟骨部が突出します。また、発声時には声帯の間に隙間が生じやすくなります。嗄声としては主に気息性嗄声(息もれ声)になります。
声帯萎縮の例。弓状変化と声帯突起の突出
発声時に声門間隙を生じやすい
年齢変化と聞いて納得し治療を希望しないケースも多いです。
治療を希望する場合には、体の負担が少ない音声訓練や薬物療法などがまず試みられます。加齢による声帯萎縮の場合、女性では特に、呼吸機能が同時に落ちていることも多く、音声訓練で呼吸と声帯の機能を同時に改善させていくことが特に重要になります。
一方、重症例や、負担の少ない治療で効果の出ない場合は、声帯のボリュームを補う声帯内注入術や甲状軟骨形成術Ⅰ型などの手術が検討されます。