慢性喉頭炎は、喉頭の炎症が中・長期間続いた状態を指します。
厳密な定義はありませんが、症状が3カ月程度持続する場合を通常慢性喉頭炎とみなします。
原因として、反復性の上気道炎、逆流性食道炎、アレルギー、副鼻腔炎の後鼻漏、喫煙、声の乱用などが知られています。
慢性喉頭炎では嗄声が主な症状ですが、のどの違和感、咳、痰などを伴うこともしばしばあります。
粗ぞう性嗄声になることが多く、急性喉頭炎より嗄声の程度は一般的に軽いです。
診断は症状の確認と内視鏡によって行われます。声帯全体に軽度の発赤や腫脹が観察されます。逆流性食道炎や喉頭アレルギーによるものの場合は、声帯の炎症に加えて、披裂部という声帯の更に後方の部分に浮腫性の腫れを伴うことが多いです。喉頭アレルギーでは鼻炎の所見を同時に認めることもしばしばです。
慢性喉頭炎の例。披裂部と声帯の浮腫変化
治療は、薬物療法と生活指導が中心になります。一般的な抗炎症剤、吸入薬の他に、逆流性食道炎の場合はプロトンポンプ阻害剤などの医薬、アレルギーが原因である場合は抗ヒスタミン薬などが出されます。通常は2週間から1か月程度処方を試して効果判定を行います。
慢性喉頭炎では薬物治療とともに生活指導が重要です。逆流性食道炎が関与している場合は予防するための生活習慣の見直しも必要になります。喉頭アレルギーである場合はアレルゲンの回避、喫煙の場合は禁煙、声の乱用がある場合は発声練習の見直しなどが必要となります。
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