花粉症の方にとっては、うっとうしい季節がやって来ました。
昨今は天気予報でも飛散予想が提供されるなど、多くの方がつらい症状に悩まされているのが現状です。
花粉症の症状が毎年出ている方は、早めに医療機関に相談し予防していただくことが重要です。

スギ花粉症に対しては様々な治療法がありますが、現在一般的に行われているのは薬による治療です。この薬は抗アレルギー剤といって、アレルギーによって生じたヒスタミンなどの化学物質をブロックしますが、アレルギーそのものを抑えるものではありません。
スギ花粉症の理想的な治療法は、スギ花粉に対してアレルギーを起こさせないようにすることです。「減感作療法」と呼ばれるこの治療は、従来スギ花粉エキスを低い濃度から次第に高い濃度へと、長期間にわたって注射することによって行われてきました。
しかし、長年にわたる注射、アレルギーを起こさせる物質を体内に入れることによる危険性などから、この治療法はあまり普及してきませんでした。
そこで、もう少し簡便な方法として開発されたのが、「舌下免疫療法」です。これは、スギ花粉舌下錠を舌下に投与することにより、減感作(アレルギー物質を少しずつ体内に投与し、アレルギーに慣れさせることで過敏反応を減らしていくこと)を図ろうというものです。
具体的には、1日1回、舌の下に錠剤を置いたまま1分間保持したあと、飲み込みます。最初の1週間は2,000JAU錠を服用し、2週目医以降は濃度を上げて5,000JAU錠を服用します。その後は3年以上継続します。この治療は、内服薬のため全身的な合併症の危険性が低く、また自宅での治療が可能です。
以上の注意が必要です。服用を継続している薬があれば、確認しておく必要があります。

治療の開始時期がスギ花粉の非飛散期と決められているため、来シーズンに向けては7月から治療が可能となります。そして、11月までに開始できれば来シーズンの効果が期待できます。また、妊娠中の方は治療を開始できませんが、治療中に妊娠した場合は継続可能です。
スギ花粉症に対する舌下免疫療法を行った方の、約80%に症状の軽減が認められています。ただし、スギ花粉症の非飛散時期を含め2~3年毎日内服が必要であること、またこの効果は残念ながら永続的ではないこと、そして何よりnon-responderと呼ばれる治療効果の低い方が約20%いることなどから、治療開始にあっては今まで述べたことを十分理解していただくことが必要です。
また、この治療の安全性は高いですが、ごく少数ではあるものの全身的な合併症がみられることから、舌下免疫療法に関する講習会とe-learningを受講した医師のみが処方可能となっています。最初の服用は医師が立ち会い、最低30分の経過観察が義務付けられています。

数多くの方が悩まされている「花粉症問題」。この解決に向け、政府も「花粉症に関する関係閣僚会議」を設置し、2023年には政府の花粉症対策3本柱として「発症等対策」「発生源対策」「飛散対策」を発表しました。このうち発生源対策として2033年度(令和15年度)には、花粉の発生源となるスギ人工林を約2割減少させることを目標に掲げています。2033年はまだ先。花粉症に長年悩まされている方、一度この「舌下免疫療法」を検討してみませんか。